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2010年2月 8日 (月)

栄養科通信vol.30『節分行事食から~「ハレ」と「ケ」を考える~』

先日2月3日は「節分」で、倉敷在宅総合ケアセンター通所リハビリでは行事食として1002081 「握り寿司バイキング」を行いました。節分といえば「巻き寿司」ですが、今回は皆様の熱いリクエストにお答えしての、初めての握り寿司提供となりました。みなさんとても喜ばれて食が進み、あちこちから「おかわり!」の声が響き、アイサービスの職人さんも大忙しでした。きっと心もお腹も満足していただけたと思います。

さてこのように、日本にはさまざまな行事食がありますよね。
今回は節分行事食にちなんで「行事食」について調べてみました。
これらの年中行事を行う日を「ハレ」の日と言って神様にご馳走を捧げお祭りを行う日とされています。

「ハレ」とは特別な日のこと。「晴れ着」や「晴れ舞台」の「晴れ」です。
反対に「ケ」とはふだんの生活である日常のこと。「けが」や「けがれ」は「ケ」が枯れたり欠けたりして普段の生活が送れなくなることだといいます。
「ケ」の日は「俗」を、「ハレ」の日は「聖」を象徴しています。しかし地道な日々の繰り返しである「ケ」の平凡な日常を過ごせることは実は何よりの幸せで、この日があるからこそ、「ハレ」の日がより特別で楽しいものになります。「ハレ(特別」の日を設けることで「ケ(普段)」の生活も豊かになると考えていたのです。

もともと農耕民族である日本人は、日常生活に「ハレ(労働せず、晴れ着を身にまとい、ハレの料理を食べる普段ではない日)」と「ケ(普段の働く日)」を設けて単調になりがちな生活にリズムをつけてきました。昔は日常の献立にほとんど変化がなく、主食に味噌汁や漬物、野菜の煮物などが多かったようです。主食としての米もいつも食べられる家庭は数えるほどしかなかったため、そのような粗食と労働の連続では身体がもたないことから「ハレ」の日のご馳走によって栄養の穴埋めをし、生命に力をつけるように食生活のバランスを考え、さらに神に供えたものを食べることで生命力が強化される、という古くからの信仰が生まれたようです。しかも「ハレ」の日の献立はその行事によって定型化しています。「節分」には「豆」「巻き寿司」や「お正月」には「お雑煮」「おせち」など。これは神仏に供える食べ物がころころ変わったのではその神仏が戸惑ってしまうと考えたからです。
また行事食に用いられる食材には「健康」「安全」「立身出世」「和」など生きていく上での願望と結びつけられる食材が用いられることが多いです。

例えば、
「先が見通せるように」とれんこんやちくわ。
「運(うん)を重ねることができるように」とにんじんや金柑。
「人の上に立つことができるように」と八頭。(やつがしら=里芋のこと)
「まめ(元気)に暮らせるように」と大豆、黒豆。
「出世できるように」と鰤やはまちなどの出世魚。

などなど、みなさんも聞いたことがあると思います。しかし同じ食材が日常にも使用され、また行事食にも使用されるわけで、高価なものや普段は食べられない貴重なものだけとは限らず、目的によって使い分けられているのです。今日食べたあの食材にも理由があるのかしら・・?少し興味がわいてきませんか?

1002082_3   さて、もう少し身近に考えると卒業式や入学式、誕生日などの人生の節目やお祭りや収穫祭などの地域の祭事のことも「ハレ」であります。そこには「特別な日だからみんなで食事をしよう」ということが多く、外食は「ハレ」の日にはつきものだったのではないでしょうか。しかし最近はなんでも手に入る時代で、外食や中食(買ったものを持って帰って自宅で食べること)は当たり前、一般家庭の食卓もかつての「ハレ」の日に匹敵するくらい豪華になり、「ハレ」と「ケ」の境が分かりにくくなったと言われています。いつでもなんでも自由に食べられるようになったことは、生活習慣病になる人が増えた一因でもあります。いつも「ハレ」の生活をするのではなく、おだやかな「ケ」の日を過ごし、たまに「ハレ」を楽しむ、程度で健康を保っていきましょう。そんな人が増えているのか、最近のファミリーレストランなどでは「ハレ」の演出ではなく「おふくろの味」のような「ケ」の演出をする方がお客が増えるとか。

食事を食べるときに、舌で味わうだけでなく、その料理は誰がどうやって作ったのか、どんな願いが込められているのかという料理の背景まで考えてみてはいかがでしょう。美味しさが増すと嬉しいです。ああ料理って奥が深い。「ハレ」もあり「ケ」もあり、皆さんに喜んでいただける献立を考えていけるよう、私たちも日々精進していきたいと思います。

栄養科 管理栄養士 A子

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