12月6日(日)に倉敷国際ホテルで開催された「急性期脳卒中医療シンポジウム」に参加してきました。
テーマは「脳卒中急性期患者の受け入れ体制・連携の現状とあり方」と題して、
座長に
○鈴木幸一郎(川崎医科大 救急医学 教授)
○岡村智教(国立循環器病センター 予防検診部 部長)
○木村和美(川崎医科大学 脳卒中医学 教授)
シンポジストには
○篠原淑子(岡山県倉敷市保健所健康づくり課 課長)
○中山博文(社団法人日本脳卒中協会専務理事)
○山田紗規子(NHK岡山放送局)
○宮松直美(滋賀医科大学臨床看護学 教授)
○岡田 洋(倉敷市消防局警防課 課長)
○井口保之(川崎医科大学脳卒中医学准教授)
○山形専(倉敷中央病院 副院長)
○篠山英道(倉敷平成病院 救急部・脳神経外科部長)
がそれぞれの立場からテーマにそって15分ずつ発表されました。
こんなにすごい発表者の方々のお話を一度に聞くことができるなんてまたとない機会でした。参加者は全部で約70名で、当院からは看護部長をはじめ9名が参加しました。
最初の講演では、脳卒中の発症には、やはり生活習慣病が関係していて、倉敷市では平成20年度からメタボ検診を実施しているがこちらにおいても、脳卒中発症予防の啓蒙活動をしていきたいとか、倉敷市では年間1108名の脳卒中患者が発症しており、脳梗塞はその約2/3を占める。発症者の3人に一人は要介護状態。発症者の7割は高血圧の既往がある。などなど、具体的な数字を挙げてのお話だったので、脳卒中という病気を大変身近に感じることができました。
中山先生からは、今行っている、岡山県での脳卒中キャンペーンが全国初の画期的な取り組みであることや、キャンペーンの告知方法について、テレビ・ラジオ・新聞・インターネットなど様々な媒体について分析されていたのが印象的でした。
NHKの山田さまの発表は動画がはいっていてインパクトがあったことと、実際の患者さんや医療現場の頑張っている姿をありのままに伝えることが最も訴える力があるということをおっしゃっておられ、なるほどなぁと思いました。
倉敷市消防では、年間の脳卒中搬送件数は966件で、1日2.6人の搬送を行っていること。倉敷市は中核市となっているが17台の消防車を所有し、中核市の全国平均よりは若干めぐまれた状況にあること。現在、救命士は56名いるが、将来的には73名にまで増やしていく計画にあること。また、KPSS(倉敷プレホスピタル脳卒中スケール)を導入して搬送に役立てていることなどが報告されていました。発表や受け答え、質問もとてもしっかりしていて、個人的に一市民として、倉敷市の消防の方々って本当に頼りになるなぁ~と感じました。
川崎医科大学の井口先生の講演では、tPA療法の取り組みの実際が報告されました。川崎医科大学の脳卒中科は全国でも先駆的にtPA療法に取り組んでおられ、症例も非常に豊富です。また、ドクターヘリを保有されており、t-PA実施された奨励のうち、13%がドクターヘリでの来院ということでした。ただ、ドクターヘリは現在日中運用で年間1.5億円の維持費がかかること、もしこれを24時間対応へシフトするとあと3億円くらい必要とのことでした。また、脳卒中治療の全体の1%がtPA実施となっているが、倉敷市では約4%の実施率となっており、これは非常によい状況であるといわれていました。日本においても地域格差が指摘されますが、岡山県においても南部と北部では医療格差が非常に激しいことが指摘されていました。tPAの実施できる施設は県北では2施設しかない現状です。この是正については、医師の確保、特に脳卒中をする医師が少ないことなどが問題として取り上げられますが、問題の解決はそう単純ではないとのことでした。
倉敷中央病院の山形先生からは、倉敷中央病院では平成17年に脳卒中科を立ち上げて、脳梗塞の入院が増え、また在院日数が減ってきている現状が報告されました。脳卒中科は脳外科13名・神経内科3名の16名のチームとのことです。また、30年前は脳出血:脳梗塞:くも膜下出血が 7:2:1の割合だったが、現在は2:7:1に逆転していることを示されました。また、倉敷中央病院には回リハ病棟がないので、地域の回リハ、開業医との連携が必要であり、また脳卒中は再発率も高いのでそのケアが必要ということでした。倉敷中央病院は3次救急で、救急車などが集い、病棟も一杯で受け入れに関して困難な場合もあるので、3次でトリアージして、2次に紹介という「逆搬送システム」が構築できればといわれていました。
当院脳神経外科部長の篠山英道先生からは、小回りのきく機動性の高い救急体制について説明がありました。当院へ来院された脳梗塞の方の実4分の1が一般外来を受診している状況にあり、症状がおこったら救急で受診することの啓蒙が必要とのことでした。また、tPAの患者さんの症例紹介がなされており注目を集めていました。
午後からのシンポジウムでも限られた時間ではありましたが、積極的な提案や質問がなされていました。貴重な会に参加することができて、脳卒中の現状について知識を深めることができたと思います。
(長くなり申し訳ありません)この勉強会の様子は12月11日(金)の午後7時30分~7時55分 NHK総合 で放送予定とのことです。こちらも楽しみです。
秘書室 いそ
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