橋本治さんの「巡礼」を読みました。
1ヶ月ほど前に読み終えた橋本治さんの「巡礼」を読み終えたばかりでした。そんな折、つい先日NHKの特集で、「ゴミ屋敷」を取り上げていました。以前はワイドショーなどで、町内のちょっと風変わりな人という捉え方で、家のまわりに無秩序の放り出されたゴミの中で生活をしていた状況をレポーターが、「困りますねえ」などと報道されていました。今回の番組の中では、「ゴミ屋敷」が大変増えている現状や、中でも従来と違い、一見全くゴミなどないように見えて、アパートの扉を開けたところは別世界のゴミだらけという「かくれゴミ屋敷」というパターンの実態紹介です。現状では「かくれゴミ屋敷」の著明な増加があるようです。ここで問題になるのが、ゴミは個人の所有財産として認められるのかということでした。
なぜそうなってしまったのかという理由については、人それぞれですが、例えば・・・
☆ 仕事が忙しくて、家には寝るだけに帰ってくるので、ゴミのことを考える余裕がない
☆ 同居していた兄が亡くなり、ひとり暮らしになってなんとなく
☆ いつか役にたつと思い
☆ 高齢になり、一部屋しか使わなくなり、他の部屋はゴミを置いても問題がない
☆ 自宅ではPCの前しか座らないので、ゴミだらけでも気にならない
☆ 買い物症候群になり、必要のないものまで買い込みそのまま放置
☆ 彼氏もいないし、だれも家には来ないので問題ない ・・・などなど。
私が番組を見ていて思ったのは、ゴミにもいろんな種類があるということでした。独身単身者の映像は、食用品の残骸や弁当パックやコンビにのビニール袋などのこまごましたゴミ。PCの前にしか座らない女性の映像は、こまごましたものプラス衣類が散乱堆積。ゴミを集めてくる人の映像は、バケツや自転車やダンボールなどの日用品が多いようでした。そこで、繁盛しているのがゴミ屋敷かたずけ業者。大変依頼が多いようで、ひっきりなしに依頼があるとか。しかしゴミといっても半端な量でない。4トントラックに4~5台というのは普通で、16台のケースもあったとか・・・やはり尋常ではない。なぜ依頼したかというと、転勤等でそのアパートを引っ越すという状況が発生した時に、自分ひとりではどうしようもなくということでした。どの映像も、「えっ?!」と見入ってしまうほど、部屋の中はゴミがうずたかく積まれていて、そこへ毎日帰ってくるという感覚はなんだろうと思いました。
「巡礼」の忠一は、戦後の日本で生真面目に、ただ黙々と生きていた人なのに、なぜか「ゴミ屋敷」で暮らしていました。忠一が最後にすがった「ゴミ」とは一体なんなのだろう・・・と、読み終わった後もずっと考えました。忠一の生まれ育った環境、父、母、兄弟、勤務環境、結婚、子ども、そして加齢・・・忠一の内面を探るには、ゴミから入っていっても理解できないのだなあとも思いました。さらに、タイトルが「巡礼」となっているのはなぜだろうとずっと考えながら読んでいましたが、すっきりと読み終えることができました。
はっきりとした「ゴミ屋敷」の原因はわかりませんが、心の中の孤独感は危険因子だと感じましたし、私自身もあと10年先には「ゴミ屋敷」で寝起きしているかも知らないと思いました。
「巡礼」、面白かったですよ。いつでもお貸しします。声を掛けてください。
倉敷老健 山田奈々子
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