2008年6月13日 (金)

脳機能再編成

先日、日本リハビリテーション医学会学術集会に参加してきました。初日にあった脳の機能再編成についてのシンポジウムが興味深かったです。10年ほど前から機能的MRI(fMRI)などで、負荷時の脳活動を評価する脳機能画像診断法が研究されるようになっています。麻痺した手を随意的に動かす課題での運動ネットワーク活性、失語のある患者への聴覚刺激による言語ネットワークの活性など、回復過程で脳機能がどのように構造的、機能的変化をとるか、が脳機能画像の所見から報告され、議論されました。脳卒中後の回復は損傷された程度によって、軽ければ可逆的回復や残存領域での機能再構成を、重度であれば反対側の大脳半球などで代償的にネットワークを再構築する、といわれています。機能代償している場所を確認し、その対側を低頻度の経頭蓋磁気刺激で抑制し、促通をはかる、といった事も研究されていました。大学院生の頃、磁気刺激を使った研究をした事がありますが、治療的な報告が出てきている事に感慨深いものがあります。脳機能画像研究はまだ一般的ではありませんが、機能回復の予後予測や、リハビリテーションの効果判定にも利用できそうで、今後が楽しみです。シンポジウムの前には、メディア露出も多いATR脳情報研究所の川人光男先生の特別講演もありました。脳を繋ぐインターフェイスについてお話しされ、SFではない未来への希望を感じさせるものでした。

医師 はっしゅ

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2008年5月16日 (金)

地上デジタル放送

  岡山県内でも地上デジタルテレビ放送が視聴できるようになって、約1年半経ちます。薄型テレビを購入して、きれいな画面を楽しんでいる家庭も増えてきているようです。我が家は小さい子供がおり、ぶつかって倒されないか冷や冷やするだろうから、と大画面の薄型テレビを購入しないでいます。

  悲惨なニュースや残酷なシーンなどの情報を大画面で子供に見せたくない、という気持ちもあります。ケーブルテレビなのでBSデジタル放送を見るにはSTBという機器がいるといった理由もあって、我が家のリビングにあるメインのテレビはいまだに21型のブラウン管テレビです。

Chideji_2    2011年7月にアナログテレビ放送が終了になる予定ですが、スムーズにデジタル放送に移行できるのだろうか、と心配しています。今後、薄型テレビはもっと安くなっていくでしょうが、古いものを大事に使われる高齢者の方々が買い換えてくれるでしょうか。特別な機器を買えば今使っているテレビでデジタル放送が見られる、といっても5000円ほどかかるようですし、放送画面自体が上下に帯が入るような形で小さくなるそうです。一般家庭も大変ですが、ホテルや病院などテレビがたくさんあるところは買い換え費用も多額になるのでもっと困るでしょう。あと3年ありますが、どうするのでしょうか。

  ところで当院職員食堂のテレビ。僕は日当直の食事の時しかスイッチを入れないのでどうでもいいことですが、デジタル対応のテレビ導入を考える前に、NHK教育しかまともに映らずゴースト、ノイズだらけのそれを、誰か解決してもらえないでしょうか。

(はっしゅ)

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2008年4月10日 (木)

蔵医

今月は伝統医学の一つであるチベット医学(蔵医)について紹介します。近世以前から行われてきた伝統医学は古代文明の発祥地にほぼ一致して興りましたが、お互いに交流や融合、あるいは廃れたものもあって、現存する主たるものは中国伝統医学、インド伝統医学(アーユルヴェーダ)、ユナニ医学(アラブ・イスラムの伝統医学)、チベット医学とされています。080410

チベット医学はインドのアーユルヴェーダや仏教を起源とし、中国伝統医学やペルシャ医学を取り入れながら、高地寒冷で酸素に乏しい、厳しい自然環境のなかで成り立ったもので、12世紀には新ユトク・ユンテン・ゴンボが『ギュー・シ(四部医典)』に編纂しています。アーユルヴェーダの基礎概念と病理観で診断と治療をするもので、アーユルヴェーダのトリ・ドーシャ理論と同様なルン、チーパ、ベーケンの3要素が人間の生命活動の基本とされます。病気は、これらの3要素のうちどれか一つが優勢となったり衰退しておこるため、治療では3要素を調整し、元の平衡状態に戻すことを目的とされます。治療にはオイル製剤よりも丸薬を使う薬草療法を主体としており、中国医学の鍼や灸なども併用されます。

また生命の起源、疾病の根源、保健および長寿などの解釈において、仏教の思想がチベット医学の中に様々な形で織り込まれています。自然界は地、水、火、風、空の五大元素からなって生態バランスを必要とするように、人体の五元素もまたバランスのとれた状態を必要とする、という五大元素説もチベット医学の重要な理論ですが、仏教の世界観を持つ我々日本人にもなじみのあるものだと思います。

3月のラサでの騒乱に続いて、ロンドンやパリでのオリンピック聖火リレー中のデモ活動などが連日のようにニュースで報道されていて、チベット問題がトピックになっています。現地時間9日午後のサンフランシスコの聖火リレーの様子が、今朝のテレビでは放送されていました。北米最大の中華街をもち、アジア系市民が1/3を占める都市であると同時に、チベット支援活動が盛んな地域です。聖火リレーがどうなるのか気になっていましたが、警備が二重、三重と走者を取り囲んでいて異様でした。直前にコースを変更・短縮したり、閉会式が中止されるなどして大きな事件はなかったようですが、平和の祭典にふさわしくないイベントでした。

サンフランシスコに、ラサ・ムーンというチベット料理店があります。その店ではチベット関連の商品も売られており、以前その店で食事した時、ポタラ宮殿の絨毯の柄をモチーフにしたネクタイを購入しました。今月何回かある歓迎会などの機会には、久しぶりにそのネクタイを締めてみようと思っています。

(参考文献) ①上馬場和夫: 伝統医学. 小松かづ子: チベット医学.  統合医療, 日本統合医療学会, pp106-109,pp127-131, 2005 ②Ai Cuoqian: チベット医学と老化予防. JACT 10,pp18-25, 2007

医師 はっしゅ

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2008年3月13日 (木)

自転車の3人乗り

 3月に入って倉敷も春らしくなりましたね。白衣の下をセーターからポロシャツに衣替えして身軽になりました。冬の間、コートを着て歩いて通勤していましたが、再び自転車通勤にしています。


 平成病院の近くには保育園、幼稚園があり、朝、自転車に子供を乗せて走っているお母さん達をよく目にします。もちろんお父さんを見かけることもあります。Tky200803060385_2

中には前後に子供ふたりを乗せているお母さんもいますが、これが最近話題になっている「3人乗り」。道路交通法では以前から違法で、注意しても違反を繰り返す悪質なケースには2万円以下の罰金ということですが、今回警察庁が教則に禁止事項と明記することになったために争論となったようです。

自動車運転手には道路側に倒れて衝突でもしたら「責任を問われそう」、歩行者には歩道をスピード制御しにくいスピードで走るので「ぶつかられそうで怖い」(実際自転車よりも歩行者優先です)、外国人の方には「サーカスの曲芸のようだ」、と言われます。バランスがとりづらく、転倒すれば子供達が怪我する危険もあるでしょう。実際、僕も小さい頃に母親の自転車に二人乗せさせられて、転んで怪我した記憶があります。

歩いて通園するには時間がかかる、車の免許を持っていない、通園していない別の子供をひとり家に残しておく訳にはいかない、といった親側の事情があります。車で送迎してもらうにも十分な駐車場がない、スクールバスには運行費用がかかる、といった園側の事情もあります。少子化対策に貢献しているのだから大目にみて、と言う親には問題点をすり替えているようで賛成できません。また、子供の安全は親が責任持つので規制すべきでない、との反対意見は、自動車のチャイルドシートの時と同様な気もします。

警察庁は一律に禁止とせず、地域行政や自転車業界、あるいは厚生労働省、文部科学省ときちんと対策を講じてから話を進めてほしいと思います。欧米ではチャイルドトレーラーが主流のようで、マウンテンバイクなどで牽引して公園をサイクリングしているのをよく見かけました。でも日本の法律では歩道を走行できないみたいです。

自転車業界では3人乗りの自転車を開発しているようですが、何万円もする自転車を母親達が買い換えてくれるものか、という疑問もあります。現時点で必要なのは頭部外傷予防のヘルメットだと思います。市に出生届をする時の記念品をアルバムか子供用ヘルメットか選べるようにするとか、市内の幼児を持つ家庭に貸与するなどしたらどうでしょうか。加害者にも被害者にもなるわけですので、自転車を乗る人のための賠償責任保険制度を充実させることも必要と思います。

自分の子供を通わせていた保育園が今月で閉園になり、4月から別の園に通わせることになりました。通勤ラッシュの影響をかなり受けるコースになるので、天気のいい日は自転車で送ろうか、と思っていました。ところが今度は下の子供も一緒に通うので、自転車の送迎では3人乗りになってしまいます。車で送迎するか、早起きして歩こうか、と悩んでいます。 (画像はasahi.comから転用)

医師 はっしゅ

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2008年2月14日 (木)

平成20年度診療報酬改正

昨日、中医協(中央社会保険医療協議会)で平成20年度診療報酬改正における主要改定項目についての案が出されました。リハビリテーションの分野では今回も激変です。当院に関係するものをあげると、Riha

1. 疾患別リハビリテーション料の逓減制の廃止

2. 疾患別リハビリテーション医学管理料は廃止し、各疾患別リハビリテーションの算定日数上限を超えたものについては、1ヶ月あたり13単位まで算定可能。
 疾患別リハ料で一単位あたりの点数は減額となっています。また算定日数上限を超えた場合の除外規定はなくなりそうです。

3. 早期リハビリテーション加算
 1単位につき30点。疾患別リハビリテーション料の算定日数上限の起算日から30日間に限り、入院中の患者についてのみ算定可能

4. ADL加算の廃止
 当院は発症時の急性期から入院リハビリテーションを提供できますが、他院から転入院してこられる脳卒中の方も多く、早期リハ加算のメリットはあまりなさそうです。むしろADL加算が廃止されることの方が大きいようです。

5. リハビリテーション総合実施計画評価料
 これまで初月、2月、3月、6月の算定であったものが、1月に1回算定できることとなり、回復期リハビリテーション病棟でも算定可能になります

6. 回復期リハビリテーション病棟に対する質の評価の導入
 回復期リハ病棟入院料1の算定要件が厳しくなっています。7割の回復期リハ病棟はクリアできるだろうと、リハ病棟連絡協議会会長は言われていますが、ADLが低く、重症割合の高い当院の場合、自宅復帰率率は全国平均よりは低く、以下の要件は満たせいないかもしれません。
ア. 当該病棟において新規入院患者のうち15%以上が重症の患者
  (重症:日常生活機能指標10点以上)
イ. 当該病棟において退院患者のうち、他の保健医療機関へ転院したものを除くものの割合が6割以上 (ケアハウス、有料老人ホーム、グループホームはOK、特養、老健、介護療養病床は不可となりそうです)
ウ. 重症患者回復病棟加算 50点(一日につき)
エ. (日常生活機能指標10点以上の)重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(3点以上)していること
 回復期リハビリテーション病棟の対象疾患の拡大
 回復期リハビリテーション病棟間で2ヶ月を超えても移動可能(リセットは不可)

7.地域連携診療計画の評価の拡大と見直し
 地域連携診療計画には、退院基準、転院基準および退院時日常生活機能評価を明記すること
 脳卒中が対象疾患に追加され、回復期リハビリテーション病棟でも算定可能になりましたが、地域連携診療計画管理料も地域連携診療計画退院時指導料も減額されています。

どうしてリハビリテーション分野ばかりが毎回毎回厳しく変更させられるのか、と嫌になります。

先日名古屋であった、全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会研究大会で、日本福祉大学二木先生が言われていました。「21世紀に入って、恣意的で、充分に根拠に基づくことのない改革が一般医療に先立って、先行的・実験的に導入されるようになった」。その理由として、

リハ医療費が医療費全体の1~2%にすぎず、失敗しても影響が少ない。

リハ関係団体の政治的発言力がまだ弱い。

リハ関係団体は個別データをよく集めているので利用されやすい。

のだそうです。成果主義は危ういと思いますが、どう対応すべきかと悩みは当分続きそうです。

医師 はっしゅ

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2008年1月17日 (木)

デジタルアーカイブ

今日17日は阪神大震災があった日ということで、今週の新聞は関連の記事が目立ちました。

朝日新聞によると、兵庫県内の災害復興住宅で昨年1年間に誰にも看取られずに独居死された人が60人(平均年齢は75.5歳)に上ったとありました

仮設住宅がなくなった2000年から8年間の合計は522人だそうです。災害復興住宅に限らず、独居死・孤独死は社会的な問題となっています。

病院ではなくて、自宅で家族に看取られて最期を迎えたいという希望の方は多いと思いますが、現実にそうできる方は1割程度。多くの方の最期の場所は病院です。独居死は確かに自宅での最期ですが、誰にも気付かれないまま何日も経過して発見される、というのはとても悲しいことです。家族関係や生活スタイルの変化、慢性的な貧困などが影響していると思いますが…。

Ihin 「遺品整理屋は見た!」という遺品整理サービスの会社の方が書かれた本があり、以前から気にはなっていたのですが、内容がリアルすぎて購入するのには二の足を踏み、HPを見るだけにしていました独居死された方の住まいで、親族などの依頼を受けて遺品の整理・処分をする仕事なのですが、そんな業者がいることも時代だな、と感じます。

自分のことになりますが、年末年始はひとりの自由な時間が出来るので、昨年亡くなった祖母の家を整理しようと計画していました。年末は衣類をまとめて処分したくらいでしたが、年始は元日の朝から雑巾を持って掃除や片付けをしていました。

祖母は入院生活が長く、何年も主がなかった家は荒れ放題でした。骨董収集や茶道が趣味だった祖父母ですが、骨董的価値のありそうなものは以前に処分されたらしくほとんど残っていません。残されたものを見ても値段はつきそうにないから、古道具屋などに持って帰ってもらったら、と父に言うのですが、祖父母が集めたものだから残しておけ、と。数だけはあるのでそれなら、と収納する部屋を確保して桐箱をまとめていきました。

比較的新しい桐箱ばかりで、中の陶磁器は古くないものだとわかっていても、開けるときはちょっとときめきます。そのうち真田紐の扱いにも慣れましたが、今後いちいち中身を確認するのは面倒なので、写真を撮って箱に貼り付けることにしました。0801171

デジタルアーカイブというほどではないですが、目録も作れるのではないかと思います。そうなるとこの茶碗は○○焼だろうか、と調べたくもなります。達筆だった祖父が桐箱に書いているものもありますが、ほとんどは推測するしかありま080172せん。

そんなわけで焼きものの本を取り寄せて勉強していますが、趣味になってきそうです。遺品整理というのは故人を偲ぶいい機会です。まとまった時間がないと出来ませんが、他人に任せるのはもったいない気がします。

医師 はっしゅ

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2007年12月22日 (土)

みんな来た道

喉が弱くてよく耳鼻科のお世話になっているのですが、月初めからひどい咽頭炎で喉が荒れていました。ようやく落ち着いたかと思っていたら、激しい下痢になりました。食べたり飲んだりするだけですぐにトイレに駆け込む状態で、何度か点滴もし、仕事も休ませてもらいました。熱はなく炎症所見も乏しかったので、ウィルス性と言われましたが、院内でも一部流行していたようで、感染対策の重要性を改めて感じました。インドやバリ島に行ってもこんな長期に続くことはなかったのに、自分の腸が壊れたのか、と本気で心配しました。幸い一週間でおさまり、先週末からお腹の調子は戻ったのですが、再び喉が腫れ、咳が出ています。前回よりも喉頭に近く、常に首を絞められている感じです。これは保育園の発表会に参加して、もらってきたようです。
自分はこんなに身体が弱かったかな、と考えてみると、家族の影響が大きいことに気づきました。11月後半から子供達の水痘(みずぼうそう)や中耳炎が続き、今もインフルエンザ疑いで熱を出している子がいます。みんな来た道と言われればそれまでですが、子育てはなかなか大変ですね。年末の慌ただしい時期です、皆様もご自愛下さい。
医師 はっしゅ

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2007年11月22日 (木)

ドクターコールに応えるべきか

Airplane 先月、学会出張のために新幹線に乗っていたとき「急病人の方があり、医師、看護師の方は…」というアナウンスがありました。最初のアナウンスでは誰も手を挙げなかったのでしょう。2度目のアナウンスがあり、医師、看護師らしいグループがその車両に出向いていました。そして新幹線は熱海駅で緊急停車し、急病の方は救急車で運ばれて行きました。
医者である以上は困った人がいれば助けるのは当然、困ったときにはお互い様と言う気持ちはあります。しかし、予定が遅れるかもという不安と、勤務中でない医師が治療して悪い結果が生じて責任問題になったとき、誰が守ってくれるのかという不安が、手を挙げることを躊躇させました。
以前、「日経メディカル」に特集された記事によると「ドクターコールに応じるか」の問いに「応じる」としたのは34%。「どうすればドクターコールに応じやすくなるか」の問いには「医療過誤責任が問われない」という条件を挙げた医師が89%あったそうですJRや航空会社が会社の保険で医師の責任をカバーしてくれない限り、対応すべきではないというのが最近の医師達の考え方のようです。このドクターコールについては、機内での場合が主ですが「さあ立ち上がろうー[美しい日本]にふさわしい外科医とは」というブログに詳しいので、一部内容をまとめて紹介します。

ドクターコールに対しては、医師法の応召義務がないとするのが一般的で、民法第698条で善意の救助者の免責が保証されているようだが、国民には広く知られていない。マスコミの医療不信増幅キャンペーンもあって社会の医師を見る目が変わってきたこと、普通に医療を行っていても刑事訴訟を起こされる現在の日本の風潮から考えて、過失の定義によっては、取り返しのつかない事態に陥る可能性がある。機内の乗客を見捨てることを薦めるわけではないが、ドクターコールを要請された医師は、感情的・財政的・時間的損失、という個人的なリスクを背負うことを意識すべきである。

10年近く前、乗っていた飛行機の機内で急患がありました。ドクターコールがあり、まだ若かった僕は手を挙げました。お酒を飲み過ぎて気分が悪くなったような中年の日本人女性でした。緊急着陸の指示は不要でしたし、投薬を考えるような病態でもなかったので、対応を指示し、カルテに記録してサインしました。そのとき客室乗務員から渡されたのは、少ない薬とおもちゃみたいな聴診器などが入った救命セットで、この程度でどうやって診察・治療するのかと思ったことを覚えています。機長や客室乗務員に感謝され、帰りに大きなスパークリングワインをいただきましたが、正直、荷物が増えて困りました。
今から考えると、もしその急患が重病で亡くなるようなことがあった場合、日本の医師免許が無効なアメリカの領空での診療行為として遺族から訴えられたかもしれないし、裁判で負けるようなことになったら医師賠償責任保険は外国領空内なので不適用、協力した医師の法的責任を保険で保障しない米系航空会社だったので、現在、医者をしているかどうかもあやしいです。
医師 はっしゅ

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2007年11月 2日 (金)

リハビリテーション・ケア合同研究大会

10月25.26.27日と埼玉県の大宮でリハビリテーション・ケア合同研究大会があり、演題発表してきました。Passion Lives Hereというメインテーマは、「医療・福祉に携わるほとんどの人が、人のため、高齢者・障害者のため、社会のために役に立ちたいという思いが原点にある。その原点を忘れず、集う人々全てが熱い思いを持ち、活動している地域に戻ったときに一段とパワーアップできるような大会にしたい」という趣旨で、大会長の霞ヶ関南病院理事長斉藤正身先生が決められたそうですが、まずは成功だったと思います。
今回の特徴は2015年を目指した「高齢者リハビリテーション医療のグランドデザイン」が提言され、それに対する複数のシンポジウムが開かれたことです。グランドデザインでは、急性期の医学モデル、亜急性期の回復期モデル、慢性期の生活モデルのあり方について方向性がなされ、リハ医療における機能回復的、代償的、予防的、機能維持的アプローチの必要性が再確認されています。提言を受けて、日本リハ医学会からは急性期リハ医療の強化と、総合リハ施設、在宅リハセンターの創設などの議論を深めたい発言されました。10年後には30数万人と、現在の3倍になろうかというリハ専門職のマンパワーを生かすためにも、訪問リハステーションの創設構想に、PT協会やOT協会からエールが送られました。
専門領域の学会ではなくこのように学際的な大会において、当法人のリハナース、PT、OT、STらがもっと活躍してくれると良いなと思います。今回、通所リハの介護士と訪問リハのOTも演題発表しました。「外に出ないとわからないことが多い」と彼らは言っていましたが、その通りでしょう。演題発表しないまでも参加すれば、当法人の実力がどの程度なのか実感できるでしょうし、法人がパワーアップするための原動力になってくれると思います。院内研究発表大会においてリハ関係で優秀だった演題は、来年からリハケア合同研究大会に発表するようにしたらどうでしょうか。ちなみに来年は福井市です。

医師 はっしゅ

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2007年9月28日 (金)

高齢者医療費の負担増について

Masuzoeyouichi 「昨年6月の医療制度改革関連法の成立に伴い、来年4月から始まる高齢者の医療費負担増の見直しをめぐり、舛添要一厚生労働相は26日、補正予算編成を念頭に、法改正は行わずに負担増部分への国費補てんを軸とした財源措置で対応する方針を決めた」と報道されていました。

来年4月からの高齢者の自己負担増は

(1)70〜74歳の一般的な所得者の窓口負担が1割から2割へ引き上げられることと

(2)75歳以上の一部の方に新たに生じる保険料負担

の2点です。これを凍結するための補正予算の規模は、1600億円とも1700億円ともいわれています。

政府・与党は、高齢者医療費以外にも負担軽減策として、障害者自立支援法で定められた1割の自己負担の凍結も検討するそうです。障害を対象とするリハの立場からすると、このことは賛成です。ただ、国民の自己負担が減ることはいいことなのですが、これらの財源はどこから出すのでしょうか。やはり消費税率アップでしょうか? インド洋で給油したり、戦闘機を買うのを止めたりすれば財源はありそうなものですが…。

ところで、社会保障について気になるのは、来年4月に新しく始まる「後期高齢者医療制度」の問題点があまり論議されていないように思える点です。全ての75歳以上の後期高齢者から、年金天引きで予想では6200円程度の保険料を徴収するようになるのですが、具体的な制度が周知されていません。窓口での支払いは1割か3割だそうですが、後期高齢者が増えれば保険料も増えるでしょうし、受診抑制される高齢者も増えてくるのではないかと予想されます。

医師 はっしゅ

*イラストは、イラストレーター松村宏さんのページから借用しました。

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2007年8月24日 (金)

Mac Fan

Powerbookg412 この原稿はApple Power Book G4 12inch、OS X 10.3.9で書いています。購入して3年以上になりますが、新幹線で東京に行くときに、車内でDVDを見ていても到着するまでバッテリーが持つし、結構気に入っています。Macを使っている医療関係者は多い思います。初めて購入したMacはLC575で、それまで使っていたPC9800が計算機のように思えたのを覚えています。もちろんMac一筋というわけではなく、以前の度重なる爆弾・フリーズに嫌気がさしてwindowsに乗り換えたこともあります。学会発表はwindowsじゃなくては駄目というところもあり、今は併用しています。
そんなわけで、趣味というほど詳しくないのですが、Macが好きです。直感的に使えるところが魅力です。ウィルス感染の危険性も少ないですし。PowerPointが全盛の学会や研修会で、外国のシンポジストがKeynoteで美しいプレゼンテーションをしていたりすると、思わずほくそ笑んでしまいます。自宅ではOS X10.4.9のiBookを使用していますが、10月のOS X 10.5”Leopard”発売が楽しみです。それからiPhoneが技術的な問題をクリアして日本で発売されたら、真っ先に購入すると思います。
Shinkansen そういえば新幹線N700系が7月から運行していますが、もうお乗りになられましたか? 僕はお盆前に利用したのですが、便数がまだ少ないこともあって満席状態でした。このN700系は普通車でも窓側にコンセントが用意されて、バッテリー持続時間が短いパソコンでも助かりますよね。
医師 はっしゅ

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2007年7月27日 (金)

電子診断書作成システム

Shindansho 生命保険・損害保険の保険金請求に必要な診断書について、医師がパソコンで入力する電子診断書作成システムの販売を日本生命保険が本格化させる、といった記事が6月中旬の新聞各紙で報じられました。小さな記事だったので気がつかれた方は少ないかもしれませんが、これは臨床医にとってはかなり期待できるニュースだと思いました。
診断書は保険会社や保険の種類によって無数にあります。同じような内容の入院証明書にしても、会社が違うだけで記入する位置が変わってきますから、病院が独自に統一した書式で作ることはできず、患者さま側が持ってこられた保険会社の用紙にそれぞれ手書きで書かなくてはなりません。記入漏れがあったり、字が汚くて保険会社が読み違えたりして、保険金不払いにつながることもあったようです。保険業界全体にある保険金不払い問題は「不適切な不払い」「支払い漏れ」「契約の不備を理由にする支払い拒否」等ありますが、社会問題にまでなっていることも、このシステム販売を本格的に進める理由の一つになっているのではないかと考えます。
以前、自分の親族で診断書が必要になったときがありました。裁判の関係で何種類かの書類を別々のタイミングで病院に持っていったのですが、入院中の主治医だった先生には、業務が大変なのをわかっているだけに「何度も手間をとらせて申し訳ない」と思いました。でも一方で「早く書類を書いてもらって面倒な処理を終わらせたい」とも考えていました。そういった経験から、個人的には診断書類を見つけたら速やかに書くようにしています。
この電子診断書作成システムは、保険会社によって異なる書式にも自動的に対応するそうで、主要生命保険21社と郵便局の簡易保険、医療保険を扱う主要損害保険6社などの、36パターンに対応できそうです。一般化すれば、診断書を書く者の負担も減るし、作成までの時間も短縮できて、患者様・ご家族のストレスも減るのではないかと期待しています。
医師 はっしゅ

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2007年6月22日 (金)

新見医師会学術講演会

Seki_niimi 6月20日新見医師会学術講演会において「脳卒中地域医療の取り組み」というタイトルで講演をしました。新見市の医師を中心とした学術集会ということで毎月行われているそうですが、講演内容のためか看護職やリハ専門職の参加もありました。結果、通常よりも多くて47名の参加者になったそうです。
リハの流れ、医療保険制度改革の影響、倉敷地域と当院の回復期リハ病棟について説明した後、地域連携の症例提示と、新見市の患者様で当院回復期リハ病棟にご入院された患者様について報告しました。そのような患者様は平成18年度で14名、5.6%で、全て脳血管疾患でした。当院に直接紹介・入院された方もいらっしゃいましたが、発症時に高速道路やドクターヘリで県南の急性期病院に搬送され、その後当院に転入院、という場合がほとんどでした。ADLの介助量の軽い方は急性期病院から直接地域に帰られるのでしょう。当院に転院してくるのは重介助の方ばかになります。リハをしっかり行っても要介護3~5になるような方々ですから、退院は新見地域のリハを含む医療・介護サービス資源に影響されていました
回復期・維持期の連携を考えるとき、同じ倉敷地域であればまだよいのですが、距離のある広域連携の場合は課題がいくつもあります。制約の多い中で、再び「住み慣れた地域でその人らしく」生活していただくにはどうすればよいのか。病院の総合力が問われるところです。地域医療推進室や相談室とも一緒にしっかりやっていきたいと思います。

医師 はっしゅ

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2007年5月18日 (金)

第2回くらしき脳卒中地域連携の会

さる5月12日、第2回目くらしき脳卒中地域連携の会が、リレー方式での症例検討会、分科会報告、特別講演といったスケジュールで開催されました。
症例検討会では地域連携が討論されるべく2症例が報告されました。1例目は、急性期病院と回復期病院、回復期病院と維持期病院という二つの連携時期にカンファレンスが行われている症例。質疑で特別講演の逢坂先生から、「このようなすばらしい連携ばかりならこの会は必要ないのですが、この地域でどの程度の割合で連携時のカンファレンスが行われているのでしょうか?」と少し意地悪な質問がされました。地域の全ての脳卒中患者で、転院、退院時の度に双方の病院・施設の担当スタッフが集まってカンファレンスを持つのは実際不可能でしょう。それをどう補ってシームレスに連携していくかを考えるのがこの会の趣旨だと思います。2例目は重介護状態の症例で、急性期を川崎医大病院脳卒中科の(当院の非常勤医師でもある)寺澤先生、回復期、維持期を当院の私が報告しました。リレー方式の症例検討会は、大きな会の時ではなくワークショップのような形で、医師以外が主体となって運営され発展していくとよいな、と世話人側は考えています。
特別講演は、西播磨総合リハセンター西播磨病院の逢坂悟郎先生で、「これからの病院間連携はいかにあるべきか?」として、脳卒中の地域連携で先進地域である大阪府豊能地区における活動が紹介されました。地域連携の苦労話を面白おかしくお話しされ、H20年度の診療報酬改定で見込まれる脳卒中の地域連携加算についても触れられました。参考にし、取り入れたいアイディアが多く、有意義な講演でした。熊本方式、尾道方式などと並んで評価の高い豊能地区ですが、我々も倉敷方式と言われるように頑張りたいと思います。

医師 はっしゅ

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2007年4月20日 (金)

医療と福祉の連携は

新年度が始まりましたが、前回も書いたようにリハビリテーションを取り巻く環境はますます厳しくなりました。混乱しているのが、介護保険でのリハ(通所リハ、訪問リハなど)を行っている方は、病院での医療保険のリハ(外来リハなど)が出来なくなったこと。これまでは実施日が同日でなければ大丈夫だったので、そのような患者様は何人もいました。デイケア(通所リハ)などを利用されている患者様を呼び止めては診察室で「もう病院でのリハは出来ません」と言うのは、周知期間がほとんどなかっただけにかなり無理がある作業です。事実、平均20分程度もかけて説明してきました。
デイケア利用と聞いていて、外来リハとの併用が出来ない時間をかけて説明し、納得してもらった後に、患者様に泣きつかれたケアマネージャー(CM)が、「あの方はデイサービス利用なので、外来リハは出来るのではないか?」と連絡してくる事例が何件もありました。専門職でもデイサービスと通所リハの区別に迷うくらいですから、患者様がわからないのは無理もありません。ただ、後で言ってくることで、説明した数10分と、患者様との信頼関係はどうなるのでしょう。
ひとりの患者様がどの病院の何科を受診し、どの通所リハを何曜日に利用しているか、などといった情報はケアプランを立てるCMが一番よく知っていると思います。今回の診療報酬改正は周知期間がほとんどなかったとはいえ、自分のクライアントがどうなるのかを考えて、早い時期に主治医に連絡するくらいのことをしてもよかったのではないでしょうか。CMやMSWがまず収集して対応策を考えるべき情報を、リハ部から教えてもらっているようでは情けないです。笠岡のあるCMは外来リハのニードが強いクライアントのために、4月のデイケアを利用しないことにし、説明書も持たせて僕の外来を受診させました。そんなことをしてくれるところもあるわけです。
どの病院の外来診察医にしても、その患者様のCMが誰かほとんど知りませんし、どの介護サービスを利用しているかについては興味もないのが現状です。外来カルテにもそんな記載欄はありません。病院のリハ専門職にしてもリハ計画書の介護サービス利用欄には滅多に記入してくれません。自分を含めて、病院の職員が医療保険の方にしか目を向けていないというのは問題ですが、CMやMSWは理解してもらう努力をしていますか? こういったことがITネットワークで早く解決してほしいのですが、いつになることか。

医師 はっしゅ

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2007年3月16日 (金)

リハビリ制限の緩和?

今週、新聞各紙に「リハビリ制限緩和」の記事が載りました。これは3月12日の中央社会保険医療協議会(中医協)の検証部会で公表されたリハビリテーションの調査結果概要を受けて、厚生労働省が方針を固めたことからの記事と思われます。厚生労働省の諮問機関である中医協は、3月14日に急遽総会を開催しましたが、診療報酬リハビリテーション料についての見直しを行い、即日諮問・答申され、4月1日より実施する、と全国保険医団体連合会のHPにありましたから、まず間違いないようです。

昨年4月の診療報酬改定で、医療保険でのリハは、保険適用の対象となる日数が、脳、心臓、呼吸器、運動器の4タイプの患者ごとに90日~180日に制限されました。ただ、約50種類の特定疾患は、日数制限から除外されています。今回の調査では「リハが終了となった時点で、少数ではあるものの医学的に改善が見込まれる患者がいる」「状態維持のためにリハの継続が必要だが介護保険の対象外の患者がいる」ことがわかり、2008年度の診療報酬改定まで待たず、異例の1年での見直しにつながりました。リハ治療が必要にもかかわらず途中で打ち切られる「リハビリ難民」の続発、48万人もの署名が厚労大臣に提出されるなど社会問題化して、厚生労働省も制度不備を認めざるを得なかったようです。具体的な改定内容は、中医協の資料から次の通り。

(1)算定日数上限の除外対象患者の拡大
① 改善の見込みがある場合に算定日数上限の除外対象になる患者として、現行の約50疾患に加え、「急性心筋梗塞」「狭心症」「慢性閉塞性肺疾患」「上記(現行の疾患+3疾患)に準じて必要と認められる場合」が追加。算定日数上限到達以後は、リハビリテーションの実施状況、計画表の添付、これまでの具体的な改善状況を踏まえた継続の理由を定期的に診療報酬請求書に記載する。
② (改善が見込まれなくても)治療上有効と医学的に判断される場合に除外対象となる患者として、「障害児(者)リハビリテーション料の対象となる患者(加齢に伴う心身の変化による疾患に罹患するものを除く)」「先天性または進行性の神経・筋疾患」が定められた。
(2)維持期リハビリテーションの点数(リハビリテーション医学管理料)新設
疾患別リハビリテーションの施設基準に応じて、(算定日数上限後の)維持期リハビリテーションの点数(リハビリテーション医学管理料)が新設され、月に1回あるいは2回算定可能になる。これは介護保険サービスが対応するまでの経過措置で、介護保険とは併用できない。
(3)疾患別リハビリテーション料の見直し
算定日数上限期間内のリハビリテーション料に逓減制が導入される。疾患タイプ別に、上限の10日~40日前より、30点~40点の逓減。算定日数の適用除外対象で継続する場合は逓減後の点数で算定する。

介護保険の対象外となる40歳未満の患者のためにリハビリテーション医学管理料が新設されたのは、点数が非常に低いとはいえ評価できます。しかし、除外対象患者が増えるのは小手先の対応でしかないように思います。本来のリハビリテーションの理念に立ち戻って、疾患別の除外疾患などを作らず、「医学的に医師が必要と判断し、患者が希望する場合」として、その適応を「適切に」とする程度でよいのではないでしょうか。また医師が必要と判断した回復見込みのある患者については、「改善」の判断基準について説明がなくあいまいで、現場の混乱はこれまで通りで改善しないように思います。日数制限もますます面倒になりそうで、疾患別リハと一緒に全面撤回してほしいものです。

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2007年2月22日 (木)

岡山県通所リハ研究大会

Images 2月18日、第10回岡山県通所リハビリテーション研究大会が岡山衛生会館で開かれました。倉敷老健もこの通所リハ協議会に参加していますので、理事として出席しました。午前中は「介護保険制度改正と新たな方向〜認知症地域包括ケアと通所リハビリ・介護の役割〜」という内容で、厚生労働省老健局、認知症対策推進室の池田武俊先生に特別講演をしていただきました。
2025年に高齢者人口が3500万人とピークになるが大都市圏で高齢者数の伸びが大きいこと高齢者のひとり暮らし世帯が急速に増加する といった説明の後、在宅・施設の二分論を越えて、いくつもの選択肢を用意する必要がある と言われました。また認知症対策の今後の方向性として、介護保険の障害者自立支援法との整合性、介護保険利用にあたっての適応病名、被保険者の年齢拡大などが検討されているようです。利用者本位の地域包括ケアについては、小規模多機能型居宅介護に時間が割かれました。 「サービスの寄せ集め=多角経営」が多機能ではないこと、「通い」「泊まり」「訪問」の基本機能が柔軟にマネジメントできて認知症の方を丁寧に支え続けられることが重要と、先進事例も提示されながら説明されました。
さて、一般演題の座長が僕に依頼されていることを知ったのが当日朝、理事控え室ででした。午後からのセッションでしたので、特別講演の合間などに発表抄録に目を通し、任された1時間は何とかこなしましたが、不十分な進行で演者の方や参加者にはご迷惑をおかけしたかもしれません。
ここで問題はふたつあります。ひとつは、座長依頼の連絡と演題抄録が当日便で送られたのが大会3日前の15日であったこと。演者の方の抄録が事務局に届くのが遅れたなどの理由はあったかもしれませんが、依頼だけでも前もって知らされるべきではなかったかと思います。この日の夜は当直で、研究大会を途中で抜けて帰るつもりだったのですが、もし遅い時間のセッションだったらどうなっていたでしょうか。もう一つの問題は、当法人の郵便物管理や連絡業務のお粗末さが改めて露呈したことです。同じ法人でも老健などに届いたら、医局の先生の郵便物は塩漬けにされるのでしょうか。これまでも、リハ部は知っていたが僕はその勉強会を知らなかった、ということがありました。他施設からの指摘でわかることもあり、何とか改善してもらいたいものです。

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2007年1月26日 (金)

ホテル予約

最近、2月の学会、研修会の宿泊予約をしました。熊本の方はよかったものの、東京のホテルはなかなか取れませんでした。ちょうど受験シーズンだからみたいで、ホテル側も受験生応援パックみたいなのを用意しているところもあるようです。僕は受験旅行を全くしなかったのですが、試験前後にホテルに泊まる心境は十分推測できます。昨日、あるホテルチェーンで耐震偽装がわかって営業を停止したというニュースがありましたが、宿泊先を急に変更しなくてはならない受験生にとっては大きなストレスだと思います。
仕事でもプライベートでもホテル予約をするのは、旅行前の好きな作業のひとつです。国内では同じホテルチェーンばかり使っていた時期もありましたが、最近はホテルを比較検討して予約が出来るサイトを利用して決めています。海外のホテル予約サイトはもっと便利ですね。以前は国際電話やFAXで予約を取ったりもしていましたけど、インターネットの恩恵で、語学のストレスをさほど感じることなく予約が出来るのですから。
Noah_wiley10年ほど前にシカゴのホテルに長期で泊まっていたときのこと。予約は問題なく投宿出来たのですが、最後の数日をダブルブッキングされていて、チェックアウトしなくてはならなくなりました。交渉して道路を挟んで向かいのホテルに移ることが出来たのですが、部屋の窓から道路を見下ろすと妙に賑やか。ロビー階に降りて行って聞くと、「ER緊急救命室」のドラマ撮影でした。昨日まで僕が泊まっていたホテルと、こちらのホテルを利用しての撮 影。ノア・ワイリーが人捜しをするシーンでした。何かうれしく得した気分で、その放送は録画して、さらにはDVDも購入して、思い出しては見ています。
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2006年12月25日 (月)

リハ専門職養成校

  061225今年は天皇誕生日が土曜日で、当院は2連休でした。クリスマスの朝が平日というのはちょっと悲しいですが、皆さんはどんなクリスマスを過ごされたでしょうか? 老健やケアハウスではどうかわかりませんが、当院ではサンタクロースが病室の患者様にプレゼントを配ってまわるとか、クリスマス会といったものはありません。事務職が全員サンタ帽をかぶって仕事したらとまでは言いませんが、何かあってもいいのかな、と思います。以前常勤で働いていた2つの病院で、プレゼントを配っていた僕としてはちょっと寂しい気がします。

  さて、10月からリハ専門職養成校に講義に行っていましたが、今月で終了し、後は年明けの試験だけになりました昨年度は本試験、再試験、追試験と、学生も大変でしたが、試験を用意する方も疲れましたので、レポートを提出してもらい、その点数を加味しようと思っています今、そのレポートに目を通しているのですが、みな熱心に何枚も書いてくれています。彼らの先輩達が当院にも実習に来ていますし、来年度当院に就職が決まった学生もいます。

  例年複数のPT,OT,STの新卒者を採用していますが、多くの学校の実習受け入れをしている成果と考えています。月からは回復期リハビリテーション病棟が88床に増床することもあって、4月からはまた若いリハスタッフが増えそうです評価されつつある当院リハ部の新人教育体制ですが、さらにしっかりしたものにしようと、先日話し合ったところです。

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2006年11月21日 (火)

立ち去り型サボタージュ

 4022501839 のぞみの会が終わりました。大盛況でしたが、皆さんはどんな感想をお持ちになったでしょうか? 医局の先生紹介の時間。各Dr.はごく僅かしか自分の科のことをアピールできず、欲求不満に感じたのではないでしょうか。次回から勉強会の内容を脳卒中やリハビリのことに限らず、今回の骨粗鬆症のことなど、各科の病気について話してもらってはどうかと思います。のぞみの会や神経セミナーで講演する機会のない医局の先生は沢山いらっしゃいます。 個人的にはここ最近、精神状態が負のスパイラルになっていたのですが、懐かしい患者様にお会いしたりして、少し元気づけられた1日でした。

 さて、「立ち去り型サボタージュ」という言葉をご存じでしょうか? 虎ノ門病院の小松秀樹先生が書かれた「医療崩壊」という本の中で使われた言葉で、最近は医療関係の新聞記事やテレビの討論番組などでも使われるようになってきました。
 医療費抑制安全要求という二つの強い圧力にさらされている現在の日本の医療。この相矛盾する圧力のために労働環境が悪化し、理不尽な攻撃を受けながら黙って相手に奉仕せざるを得ない状況に士気を下げた勤務医達はリスクの高い病院診療から離れ始めている。この現象を著者は「立ち去り型サボタージュ」と名付けたのです。
 慈恵医大青戸病院事件をきっかけに一般向けの執筆活動をされているようですが、医療崩壊が既に始まっている産科・小児科、救急医療体制などの医療現場だけでなく、医学界、マスメディア、警察・検察などの司法の立場にまで踏み入って考察されています
 訴訟社会の結果、裕福な人しか望む医療が受けられなくなった米国式の医療や、診察が数ヶ月先まで受けられない英国式医療にならないためにはどうすればよいのか。著者はいくつかの提案をしていますが、国民全体が考える必要にきています
 10月初旬に読んだのですが、日頃感じていた医療の問題点をここまで詳細に考察した本はこれが初めてで、今年読んだ本の中ではベスト3に入ると思います医療関係者、行政・政治関係者は必読ですし、一般の方には少し難解ですが、読んでいただきたい本です。

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2006年10月31日 (火)

くらしき脳卒中地域連携の会

先週末の10月28日土曜日、第1回の「くらしき脳卒中地域連携の会」が倉敷市内で開かれました。岡山県南西部医療圏で脳卒中診療に携わる病院・施設間の連携強化を目的とする会で、特別講演では脳卒中地域連携で先進地域の熊本機能病院の渡邊進先生にお話しいただきました。
岡山県内には現在回復期リハ病棟を持つ17病院で計726床ありますが、そのうちの10病院462床が倉敷市内にあり、実に64%を占めています。急性期の脳卒中治療を担う代表的な総合病院は2カ所あり、資源的には大変充実した地域です。しかし、それが有機的にスムーズな連携をしているかというと、受け入れ窓口の問題、待機期間、急性期からの治療が継続でき、質の高いリハができているのか、リハ効果の情報が急性期病院に還元されているのか、など問題が多く、病院間のそれぞれの事情に影響されます。また回復期リハ病棟と在宅ケアサービス、介護系入所施設との連携は、リハについて言えば、まだまだ脆弱です。
昨年秋頃から倉敷中央病院脳卒中科の山形先生、川崎医科大学脳卒中医学教室の木村先生、倉敷地域リハ広域支援センターの遠藤先生らと「脳卒中の倉敷モデル」と言われるような地域連携を目指して準備を始めてきましたが、ようやく地域に向けてスタートできたという気持ちです。今後は、懇談会のような会ばかりでなく、地域連携パスの作成や脳卒中ノートなどについて実務的な部会も始めていき、脳卒中診療に携わる地域の全ての保健・医療・福祉職の質の底上げも図りたい考えます。
会場の都合で100名程度の参加でしたが、意欲を持った方ばかりで、これから地域の脳卒中医療・福祉がよい方向に発展してくれそうな熱気を感じました。熊本や大阪に負けない地域連携のシステムが育ち、たとえ障害があっても尊厳を持って生活でき、この地域に住んでいてよかったと言われるように努力したいと思います。

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2006年9月28日 (木)

リハビリ難民

 最近、「リハビリ難民」という言葉が新聞やテレビで使われて、ニュースや特集にされているのをご存じの方もいらっしゃるでしょう。昨日の9月27日で脳血管障害などのリハビリテーションについての猶予期間が終わり、一部の例外を除いて発症から180日以上経過している患者様のリハビリテーションができなくなりました特に当院外来では機能維持を目的に外来リハをされていた脳卒中後遺症の方が多く、先の8月で終了になった整形外科など運動器のリハを含めると4分の3程度の患者様がリハセンターに通えなくなりました。
 機械的に「来月からリハセンターには来られませんから」などと言えるはずもなく、その患者様の最終診察日には、経緯の説明や今後のリハ継続方法の確認など、お話しすることも多く、外来時間がいつもより長くなってしまいました。前々からお話ししていたとはいえ、最後の診察となると皆さん思うところあるようでした。反対署名が48万人分もあったのに反応のない厚生労働省を批判される方、物療だけでも継続すると言われる方、デイケアでのリハに不安を持たれている方、僕の顔を見つめて涙ぐまれる方、一番多いのは当然ながら自分の機能が徐々に落ちていき、寝たきりになってしまうのではないか、という不安を訴えられる方でした。
 介護保険でのリハビリテーションは現在、全国的に量・質ともに満足出来る体制にないことは以前にもこのブログで書きました。全仁会はこれまでも訪問リハとデイケアのリハサービスには力を入れてきましたが、今回、外来担当だったセラピストを一部介護系に配置し、今まで以上にリハの満足度を高める努力をしています。麻痺があっても要支援にしか認定されなかった患者様にも提供できる予防リハサービスも始まりましたこれらの在宅リハビリテーションについては、11月ののぞみの会で詳しく説明されると思います。

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2006年8月29日 (火)

トリカブト

082901p_1  昨日のMomoさんと行動を供にしていたわけではありませんが、偶然082902p_1 にも僕も先週末、岐阜・名古屋方面に行っていました。また、8月7日のターキー先生のブログに影響されたわけでもないのですが、西穂高岳を登山してきました。テントを担いで山中泊する時間もなかったので、星空を眺 めることはできませんでしたが、雷鳥やオコジョに出会うことができました
 これまで富士山や北アルプスに登ったことがなかったのですが、山道で渋滞することがあるのかと驚きましたブームとは聞いていましたが、中高年の登山熱はすごいですね。ツアーバッジをつけて団体で来るのですから。僕の前を歩いていた50代の登山者達が話していたのですが、30-40年前の山は、ワンゲル部などの学生や若い社会人でいっぱいだったそうです。今の登山ブームは、その人達が比較的時間に余裕が出来て再び登っているのではないかと。今の若い学生、社会人には登山はあまり人気がないので、もう10年か20年したら山に登る人は激減するのではないか、と心配されていました。
 082903p_1 西穂山荘の前でヤチトリカブトが群生していましたトリカブトはキンポウゲ科の多年草082904p で、日本名は舞楽の時に使う鳳凰の頭の形をかたどった鳥兜に似ていることに由来します。英語ではMonkshoodと呼ばれますが、花の形が修道士が被る青紫のフードに似ている事が由来となっています。特に根に多く含まれるアコニチン型アルカロイドの毒で有名です。致死量はわずか耳かき一杯程度。1990年頃の社会ニュースになった「トリカブト保険金殺人事件」を覚えている方もいるでしょう。その頃、内田康夫原作で映画や2時間ドラマにもなった「天河伝説殺人事件」の中でも「雨降らしの面」にトリカブトの毒が塗られていました。余談ですが、奈良県の天河大弁財天社にはよく通っていました。故宮下富実夫氏も奉納演奏されています。で、有毒植物のトリカブトですが、漢方薬に関心のある方ならご存じだと思いますが、附子として八味地黄丸、牛車腎気丸などに含まれています。附子の効能として鎮痛、鎮痙、強心、利尿、新陳代謝機能の衰弱の改善、冷えと血圧低下の改善などがあります。劇薬で指定医薬品ですので投与には注意が必要です。
 漢方薬では劇薬ですが、ホメオパシーではその特性から中毒などの心配をせずに使うことができます。アコナイト(Aconite napellus)というレメディがトリカブトから作られますが、key wordとして急激な恐怖やパニック、ショック、極度の不安状態などがあげられます医学的な臨床症状として、急性のショックやパニック、死の恐怖、神経痛、頻脈、狭心症・心筋梗塞、急性の発熱性疾患などの時に検討されます。もちろん単純に症状だけで選べないのがホメオパシーの難しくも面白いところです。ホメオパシーについては今後、少しずつお話ししていきます。082905p

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2006年7月31日 (月)

恩師を通じての偶感

昨年亡くなった恩師を語る会が今月ありました。臨床家であり教育者であり、研究者であったその先生については、大学医局や同門の医師、専門学校や大学の教師、卒業生、病院の職員や業者など、様々な人達が思い出を語っていきました。僕にも話す時間をいただけましたので、シンポジストにしていただいたシドニーでの学会旅行の事を中心に発表しました。
 その会のために昔の写真を取りだして発表準備をしたことで、当時の自分を振り返ることになりました。あのころは大学院生で研究をまとめることを求められ、同時に毎週、関連病院への出張やリハ養成校などでの講義をしていました。大学病院では入院患者の担当もしており、いつも病棟の看護師達から指示が遅いとしかられていましたから、早くこんな生活が終わってひとつの病院で臨床だけに専念できる身分になりたい、そう考えていたものでした。ですが大学院を終了していざ地域の病院に出てみると、圧倒的にリハ専門職が足りない病院、リハ処方を書くだけで終わってしまう急性期の病院、など多くの問題に直面しました。
 倉敷平成病院はリハ専門職も多く、急性期だけではなく回復期、維持期のリハもしっかりできて、ある意味では理想的な病院です。それでも医師免許を持つ常勤医の中で、当直、入院患者を担当される医師は少なく、リハ処方を出してくださる彼らはみな疲弊しています。僕は現在、ひとつの病院で臨床だけに専念できていることは確かですが、外来・入院・当直・訪問の各部門間での時間調整がまだうまくできずにいます。理想通りに満足して働くのは難しいものですね。秋からは養成校での講義も始まりますし。
 次回からはぐっさんのようにCAMのことも書こうと思います。

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2006年6月19日 (月)

リハビリテーションの制限

今年4月の診療報酬改定で、一部の例外はあるものの、疾患ごとにリハビリテーション(以下、リハ)ができる日数が制限されました。3月末までに既にリハを行っていた患者様については、経過措置で4月1日をリセット日として継続してリハが受けられる事にはなっています。しかし、呼吸器のリハをされている患者様は今月末で、整形外科など運動器のリハは8月末、脳血管障害のリハは9月末で打ち切りになってしまいます。
 厚生労働省の意向は、実際にリハができなくなるわけでなく、障害をもって経過の長い維持期の状態にある方は介護保険でリハをするように、というものです。外来通院患者を中心に強い反発がありますが、理由のひとつに介護保険でのリハサービスが全国的に量・質ともに満足出来る体制にないからだと思われます。さらに根本的なことは、生活のために身体機能の維持をはかる患者様の生存権を奪わんばかりの制度ともいえるからです。維持期のリハは基本的に機能を維持できるか低下していくかですので、改善しないからリハの必要がないというのはリハの本質を理解されていない乱暴な考え方ではないでしょうか。
 学会も厚生労働省もよく話を聞くと、結局は医療費の抑制を狙う小泉内閣官邸に強引に押し切られたそうです。最近になってマスコミもこの問題を取り上げるようになりましたが、4月の制度改正前にもっとマスコミが問題視してくれていたなら、と報道の偏りには残念でなりません。
 兵庫医大リハ科教授の道免和久先生や、自らも脳卒中でリハを続けていらっしゃる東大名誉教授の多田富夫先生らのグループが「リハビリテーション医療の打ち切りに反対する署名活動」(http://www.craseed.net/)をされており、当院にも署名用紙がまわってきました。6月24日締め切り でもう日がありませんが、インターネットでの署名も可能ですので、ご協力お願いいたします。

(はっしゅ)

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