2008年6月13日 (金)

脳機能再編成

先日、日本リハビリテーション医学会学術集会に参加してきました。初日にあった脳の機能再編成についてのシンポジウムが興味深かったです。10年ほど前から機能的MRI(fMRI)などで、負荷時の脳活動を評価する脳機能画像診断法が研究されるようになっています。麻痺した手を随意的に動かす課題での運動ネットワーク活性、失語のある患者への聴覚刺激による言語ネットワークの活性など、回復過程で脳機能がどのように構造的、機能的変化をとるか、が脳機能画像の所見から報告され、議論されました。脳卒中後の回復は損傷された程度によって、軽ければ可逆的回復や残存領域での機能再構成を、重度であれば反対側の大脳半球などで代償的にネットワークを再構築する、といわれています。機能代償している場所を確認し、その対側を低頻度の経頭蓋磁気刺激で抑制し、促通をはかる、といった事も研究されていました。大学院生の頃、磁気刺激を使った研究をした事がありますが、治療的な報告が出てきている事に感慨深いものがあります。脳機能画像研究はまだ一般的ではありませんが、機能回復の予後予測や、リハビリテーションの効果判定にも利用できそうで、今後が楽しみです。シンポジウムの前には、メディア露出も多いATR脳情報研究所の川人光男先生の特別講演もありました。脳を繋ぐインターフェイスについてお話しされ、SFではない未来への希望を感じさせるものでした。

医師 はっしゅ

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2008年5月16日 (金)

地上デジタル放送

  岡山県内でも地上デジタルテレビ放送が視聴できるようになって、約1年半経ちます。薄型テレビを購入して、きれいな画面を楽しんでいる家庭も増えてきているようです。我が家は小さい子供がおり、ぶつかって倒されないか冷や冷やするだろうから、と大画面の薄型テレビを購入しないでいます。

  悲惨なニュースや残酷なシーンなどの情報を大画面で子供に見せたくない、という気持ちもあります。ケーブルテレビなのでBSデジタル放送を見るにはSTBという機器がいるといった理由もあって、我が家のリビングにあるメインのテレビはいまだに21型のブラウン管テレビです。

Chideji_2    2011年7月にアナログテレビ放送が終了になる予定ですが、スムーズにデジタル放送に移行できるのだろうか、と心配しています。今後、薄型テレビはもっと安くなっていくでしょうが、古いものを大事に使われる高齢者の方々が買い換えてくれるでしょうか。特別な機器を買えば今使っているテレビでデジタル放送が見られる、といっても5000円ほどかかるようですし、放送画面自体が上下に帯が入るような形で小さくなるそうです。一般家庭も大変ですが、ホテルや病院などテレビがたくさんあるところは買い換え費用も多額になるのでもっと困るでしょう。あと3年ありますが、どうするのでしょうか。

  ところで当院職員食堂のテレビ。僕は日当直の食事の時しかスイッチを入れないのでどうでもいいことですが、デジタル対応のテレビ導入を考える前に、NHK教育しかまともに映らずゴースト、ノイズだらけのそれを、誰か解決してもらえないでしょうか。

(はっしゅ)

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2008年4月10日 (木)

蔵医

今月は伝統医学の一つであるチベット医学(蔵医)について紹介します。近世以前から行われてきた伝統医学は古代文明の発祥地にほぼ一致して興りましたが、お互いに交流や融合、あるいは廃れたものもあって、現存する主たるものは中国伝統医学、インド伝統医学(アーユルヴェーダ)、ユナニ医学(アラブ・イスラムの伝統医学)、チベット医学とされています。080410

チベット医学はインドのアーユルヴェーダや仏教を起源とし、中国伝統医学やペルシャ医学を取り入れながら、高地寒冷で酸素に乏しい、厳しい自然環境のなかで成り立ったもので、12世紀には新ユトク・ユンテン・ゴンボが『ギュー・シ(四部医典)』に編纂しています。アーユルヴェーダの基礎概念と病理観で診断と治療をするもので、アーユルヴェーダのトリ・ドーシャ理論と同様なルン、チーパ、ベーケンの3要素が人間の生命活動の基本とされます。病気は、これらの3要素のうちどれか一つが優勢となったり衰退しておこるため、治療では3要素を調整し、元の平衡状態に戻すことを目的とされます。治療にはオイル製剤よりも丸薬を使う薬草療法を主体としており、中国医学の鍼や灸なども併用されます。

また生命の起源、疾病の根源、保健および長寿などの解釈において、仏教の思想がチベット医学の中に様々な形で織り込まれています。自然界は地、水、火、風、空の五大元素からなって生態バランスを必要とするように、人体の五元素もまたバランスのとれた状態を必要とする、という五大元素説もチベット医学の重要な理論ですが、仏教の世界観を持つ我々日本人にもなじみのあるものだと思います。

3月のラサでの騒乱に続いて、ロンドンやパリでのオリンピック聖火リレー中のデモ活動などが連日のようにニュースで報道されていて、チベット問題がトピックになっています。現地時間9日午後のサンフランシスコの聖火リレーの様子が、今朝のテレビでは放送されていました。北米最大の中華街をもち、アジア系市民が1/3を占める都市であると同時に、チベット支援活動が盛んな地域です。聖火リレーがどうなるのか気になっていましたが、警備が二重、三重と走者を取り囲んでいて異様でした。直前にコースを変更・短縮したり、閉会式が中止されるなどして大きな事件はなかったようですが、平和の祭典にふさわしくないイベントでした。

サンフランシスコに、ラサ・ムーンというチベット料理店があります。その店ではチベット関連の商品も売られており、以前その店で食事した時、ポタラ宮殿の絨毯の柄をモチーフにしたネクタイを購入しました。今月何回かある歓迎会などの機会には、久しぶりにそのネクタイを締めてみようと思っています。

(参考文献) ①上馬場和夫: 伝統医学. 小松かづ子: チベット医学.  統合医療, 日本統合医療学会, pp106-109,pp127-131, 2005 ②Ai Cuoqian: チベット医学と老化予防. JACT 10,pp18-25, 2007

医師 はっしゅ

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2008年3月13日 (木)

自転車の3人乗り

 3月に入って倉敷も春らしくなりましたね。白衣の下をセーターからポロシャツに衣替えして身軽になりました。冬の間、コートを着て歩いて通勤していましたが、再び自転車通勤にしています。


 平成病院の近くには保育園、幼稚園があり、朝、自転車に子供を乗せて走っているお母さん達をよく目にします。もちろんお父さんを見かけることもあります。Tky200803060385_2

中には前後に子供ふたりを乗せているお母さんもいますが、これが最近話題になっている「3人乗り」。道路交通法では以前から違法で、注意しても違反を繰り返す悪質なケースには2万円以下の罰金ということですが、今回警察庁が教則に禁止事項と明記することになったために争論となったようです。

自動車運転手には道路側に倒れて衝突でもしたら「責任を問われそう」、歩行者には歩道をスピード制御しにくいスピードで走るので「ぶつかられそうで怖い」(実際自転車よりも歩行者優先です)、外国人の方には「サーカスの曲芸のようだ」、と言われます。バランスがとりづらく、転倒すれば子供達が怪我する危険もあるでしょう。実際、僕も小さい頃に母親の自転車に二人乗せさせられて、転んで怪我した記憶があります。

歩いて通園するには時間がかかる、車の免許を持っていない、通園していない別の子供をひとり家に残しておく訳にはいかない、といった親側の事情があります。車で送迎してもらうにも十分な駐車場がない、スクールバスには運行費用がかかる、といった園側の事情もあります。少子化対策に貢献しているのだから大目にみて、と言う親には問題点をすり替えているようで賛成できません。また、子供の安全は親が責任持つので規制すべきでない、との反対意見は、自動車のチャイルドシートの時と同様な気もします。

警察庁は一律に禁止とせず、地域行政や自転車業界、あるいは厚生労働省、文部科学省ときちんと対策を講じてから話を進めてほしいと思います。欧米ではチャイルドトレーラーが主流のようで、マウンテンバイクなどで牽引して公園をサイクリングしているのをよく見かけました。でも日本の法律では歩道を走行できないみたいです。

自転車業界では3人乗りの自転車を開発しているようですが、何万円もする自転車を母親達が買い換えてくれるものか、という疑問もあります。現時点で必要なのは頭部外傷予防のヘルメットだと思います。市に出生届をする時の記念品をアルバムか子供用ヘルメットか選べるようにするとか、市内の幼児を持つ家庭に貸与するなどしたらどうでしょうか。加害者にも被害者にもなるわけですので、自転車を乗る人のための賠償責任保険制度を充実させることも必要と思います。

自分の子供を通わせていた保育園が今月で閉園になり、4月から別の園に通わせることになりました。通勤ラッシュの影響をかなり受けるコースになるので、天気のいい日は自転車で送ろうか、と思っていました。ところが今度は下の子供も一緒に通うので、自転車の送迎では3人乗りになってしまいます。車で送迎するか、早起きして歩こうか、と悩んでいます。 (画像はasahi.comから転用)

医師 はっしゅ

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2008年2月14日 (木)

平成20年度診療報酬改正

昨日、中医協(中央社会保険医療協議会)で平成20年度診療報酬改正における主要改定項目についての案が出されました。リハビリテーションの分野では今回も激変です。当院に関係するものをあげると、Riha

1. 疾患別リハビリテーション料の逓減制の廃止

2. 疾患別リハビリテーション医学管理料は廃止し、各疾患別リハビリテーションの算定日数上限を超えたものについては、1ヶ月あたり13単位まで算定可能。
 疾患別リハ料で一単位あたりの点数は減額となっています。また算定日数上限を超えた場合の除外規定はなくなりそうです。

3. 早期リハビリテーション加算
 1単位につき30点。疾患別リハビリテーション料の算定日数上限の起算日から30日間に限り、入院中の患者についてのみ算定可能

4. ADL加算の廃止
 当院は発症時の急性期から入院リハビリテーションを提供できますが、他院から転入院してこられる脳卒中の方も多く、早期リハ加算のメリットはあまりなさそうです。むしろADL加算が廃止されることの方が大きいようです。

5. リハビリテーション総合実施計画評価料
 これまで初月、2月、3月、6月の算定であったものが、1月に1回算定できることとなり、回復期リハビリテーション病棟でも算定可能になります

6. 回復期リハビリテーション病棟に対する質の評価の導入
 回復期リハ病棟入院料1の算定要件が厳しくなっています。7割の回復期リハ病棟はクリアできるだろうと、リハ病棟連絡協議会会長は言われていますが、ADLが低く、重症割合の高い当院の場合、自宅復帰率率は全国平均よりは低く、以下の要件は満たせいないかもしれません。
ア. 当該病棟において新規入院患者のうち15%以上が重症の患者
  (重症:日常生活機能指標10点以上)
イ. 当該病棟において退院患者のうち、他の保健医療機関へ転院したものを除くものの割合が6割以上 (ケアハウス、有料老人ホーム、グループホームはOK、特養、老健、介護療養病床は不可となりそうです)
ウ. 重症患者回復病棟加算 50点(一日につき)
エ. (日常生活機能指標10点以上の)重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(3点以上)していること
 回復期リハビリテーション病棟の対象疾患の拡大
 回復期リハビリテーション病棟間で2ヶ月を超えても移動可能(リセットは不可)

7.地域連携診療計画の評価の拡大と見直し
 地域連携診療計画には、退院基準、転院基準および退院時日常生活機能評価を明記すること
 脳卒中が対象疾患に追加され、回復期リハビリテーション病棟でも算定可能になりましたが、地域連携診療計画管理料も地域連携診療計画退院時指導料も減額されています。

どうしてリハビリテーション分野ばかりが毎回毎回厳しく変更させられるのか、と嫌になります。

先日名古屋であった、全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会研究大会で、日本福祉大学二木先生が言われていました。「21世紀に入って、恣意的で、充分に根拠に基づくことのない改革が一般医療に先立って、先行的・実験的に導入されるようになった」。その理由として、

リハ医療費が医療費全体の1~2%にすぎず、失敗しても影響が少ない。

リハ関係団体の政治的発言力がまだ弱い。

リハ関係団体は個別データをよく集めているので利用されやすい。

のだそうです。成果主義は危ういと思いますが、どう対応すべきかと悩みは当分続きそうです。

医師 はっしゅ

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2008年1月17日 (木)

デジタルアーカイブ

今日17日は阪神大震災があった日ということで、今週の新聞は関連の記事が目立ちました。

朝日新聞によると、兵庫県内の災害復興住宅で昨年1年間に誰にも看取られずに独居死された人が60人(平均年齢は75.5歳)に上ったとありました

仮設住宅がなくなった2000年から8年間の合計は522人だそうです。災害復興住宅に限らず、独居死・孤独死は社会的な問題となっています。

病院ではなくて、自宅で家族に看取られて最期を迎えたいという希望の方は多いと思いますが、現実にそうできる方は1割程度。多くの方の最期の場所は病院です。独居死は確かに自宅での最期ですが、誰にも気付かれないまま何日も経過して発見される、というのはとても悲しいことです。家族関係や生活スタイルの変化、慢性的な貧困などが影響していると思いますが…。

Ihin 「遺品整理屋は見た!」という遺品整理サービスの会社の方が書かれた本があり、以前から気にはなっていたのですが、内容がリアルすぎて購入するのには二の足を踏み、HPを見るだけにしていました独居死された方の住まいで、親族などの依頼を受けて遺品の整理・処分をする仕事なのですが、そんな業者がいることも時代だな、と感じます。

自分のことになりますが、年末年始はひとりの自由な時間が出来るので、昨年亡くなった祖母の家を整理しようと計画していました。年末は衣類をまとめて処分したくらいでしたが、年始は元日の朝から雑巾を持って掃除や片付けをしていました。

祖母は入院生活が長く、何年も主がなかった家は荒れ放題でした。骨董収集や茶道が趣味だった祖父母ですが、骨董的価値のありそうなものは以前に処分されたらしくほとんど残っていません。残されたものを見ても値段はつきそうにないから、古道具屋などに持って帰ってもらったら、と父に言うのですが、祖父母が集めたものだから残しておけ、と。数だけはあるのでそれなら、と収納する部屋を確保して桐箱をまとめていきました。

比較的新しい桐箱ばかりで、中の陶磁器は古くないものだとわかっていても、開けるときはちょっとときめきます。そのうち真田紐の扱いにも慣れましたが、今後いちいち中身を確認するのは面倒なので、写真を撮って箱に貼り付けることにしました。0801171

デジタルアーカイブというほどではないですが、目録も作れるのではないかと思います。そうなるとこの茶碗は○○焼だろうか、と調べたくもなります。達筆だった祖父が桐箱に書いているものもありますが、ほとんどは推測するしかありま080172せん。

そんなわけで焼きものの本を取り寄せて勉強していますが、趣味になってきそうです。遺品整理というのは故人を偲ぶいい機会です。まとまった時間がないと出来ませんが、他人に任せるのはもったいない気がします。

医師 はっしゅ

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2007年12月22日 (土)

みんな来た道

喉が弱くてよく耳鼻科のお世話になっているのですが、月初めからひどい咽頭炎で喉が荒れていました。ようやく落ち着いたかと思っていたら、激しい下痢になりました。食べたり飲んだりするだけですぐにトイレに駆け込む状態で、何度か点滴もし、仕事も休ませてもらいました。熱はなく炎症所見も乏しかったので、ウィルス性と言われましたが、院内でも一部流行していたようで、感染対策の重要性を改めて感じました。インドやバリ島に行ってもこんな長期に続くことはなかったのに、自分の腸が壊れたのか、と本気で心配しました。幸い一週間でおさまり、先週末からお腹の調子は戻ったのですが、再び喉が腫れ、咳が出ています。前回よりも喉頭に近く、常に首を絞められている感じです。これは保育園の発表会に参加して、もらってきたようです。
自分はこんなに身体が弱かったかな、と考えてみると、家族の影響が大きいことに気づきました。11月後半から子供達の水痘(みずぼうそう)や中耳炎が続き、今もインフルエンザ疑いで熱を出している子がいます。みんな来た道と言われればそれまでですが、子育てはなかなか大変ですね。年末の慌ただしい時期です、皆様もご自愛下さい。
医師 はっしゅ

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2007年11月22日 (木)

ドクターコールに応えるべきか

Airplane 先月、学会出張のために新幹線に乗っていたとき「急病人の方があり、医師、看護師の方は…」というアナウンスがありました。最初のアナウンスでは誰も手を挙げなかったのでしょう。2度目のアナウンスがあり、医師、看護師らしいグループがその車両に出向いていました。そして新幹線は熱海駅で緊急停車し、急病の方は救急車で運ばれて行きました。
医者である以上は困った人がいれば助けるのは当然、困ったときにはお互い様と言う気持ちはあります。しかし、予定が遅れるかもという不安と、勤務中でない医師が治療して悪い結果が生じて責任問題になったとき、誰が守ってくれるのかという不安が、手を挙げることを躊躇させました。
以前、「日経メディカル」に特集された記事によると「ドクターコールに応じるか」の問いに「応じる」としたのは34%。「どうすればドクターコールに応じやすくなるか」の問いには「医療過誤責任が問われない」という条件を挙げた医師が89%あったそうですJRや航空会社が会社の保険で医師の責任をカバーしてくれない限り、対応すべきではないというのが最近の医師達の考え方のようです。このドクターコールについては、機内での場合が主ですが「さあ立ち上がろうー[美しい日本]にふさわしい外科医とは」というブログに詳しいので、一部内容をまとめて紹介します。

ドクターコールに対しては、医師法の応召義務がないとするのが一般的で、民法第698条で善意の救助者の免責が保証されているようだが、国民には広く知られていない。マスコミの医療不信増幅キャンペーンもあって社会の医師を見る目が変わってきたこと、普通に医療を行っていても刑事訴訟を起こされる現在の日本の風潮から考えて、過失の定義によっては、取り返しのつかない事態に陥る可能性がある。機内の乗客を見捨てることを薦めるわけではないが、ドクターコールを要請された医師は、感情的・財政的・時間的損失、という個人的なリスクを背負うことを意識すべきである。

10年近く前、乗っていた飛行機の機内で急患がありました。ドクターコールがあり、まだ若かった僕は手を挙げました。お酒を飲み過ぎて気分が悪くなったような中年の日本人女性でした。緊急着陸の指示は不要でしたし、投薬を考えるような病態でもなかったので、対応を指示し、カルテに記録してサインしました。そのとき客室乗務員から渡されたのは、少ない薬とおもちゃみたいな聴診器などが入った救命セットで、この程度でどうやって診察・治療するのかと思ったことを覚えています。機長や客室乗務員に感謝され、帰りに大きなスパークリングワインをいただきましたが、正直、荷物が増えて困りました。
今から考えると、もしその急患が重病で亡くなるようなことがあった場合、日本の医師免許が無効なアメリカの領空での診療行為として遺族から訴えられたかもしれないし、裁判で負けるようなことになったら医師賠償責任保険は外国領空内なので不適用、協力した医師の法的責任を保険で保障しない米系航空会社だったので、現在、医者をしているかどうかもあやしいです。
医師 はっしゅ

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2007年11月 2日 (金)

リハビリテーション・ケア合同研究大会

10月25.26.27日と埼玉県の大宮でリハビリテーション・ケア合同研究大会があり、演題発表してきました。Passion Lives Hereというメインテーマは、「医療・福祉に携わるほとんどの人が、人のため、高齢者・障害者のため、社会のために役に立ちたいという思いが原点にある。その原点を忘れず、集う人々全てが熱い思いを持ち、活動している地域に戻ったときに一段とパワーアップできるような大会にしたい」という趣旨で、大会長の霞ヶ関南病院理事長斉藤正身先生が決められたそうですが、まずは成功だったと思います。
今回の特徴は2015年を目指した「高齢者リハビリテーション医療のグランドデザイン」が提言され、それに対する複数のシンポジウムが開かれたことです。グランドデザインでは、急性期の医学モデル、亜急性期の回復期モデル、慢性期の生活モデルのあり方について方向性がなされ、リハ医療における機能回復的、代償的、予防的、機能維持的アプローチの必要性が再確認されています。提言を受けて、日本リハ医学会からは急性期リハ医療の強化と、総合リハ施設、在宅リハセンターの創設などの議論を深めたい発言されました。10年後には30数万人と、現在の3倍になろうかというリハ専門職のマンパワーを生かすためにも、訪問リハステーションの創設構想に、PT協会やOT協会からエールが送られました。
専門領域の学会ではなくこのように学際的な大会において、当法人のリハナース、PT、OT、STらがもっと活躍してくれると良いなと思います。今回、通所リハの介護士と訪問リハのOTも演題発表しました。「外に出ないとわからないことが多い」と彼らは言っていましたが、その通りでしょう。演題発表しないまでも参加すれば、当法人の実力がどの程度なのか実感できるでしょうし、法人がパワーアップするための原動力になってくれると思います。院内研究発表大会においてリハ関係で優秀だった演題は、来年からリハケア合同研究大会に発表するようにしたらどうでしょうか。ちなみに来年は福井市です。

医師 はっしゅ

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2007年9月28日 (金)

高齢者医療費の負担増について

Masuzoeyouichi 「昨年6月の医療制度改革関連法の成立に伴い、来年4月から始まる高齢者の医療費負担増の見直しをめぐり、舛添要一厚生労働相は26日、補正予算編成を念頭に、法改正は行わずに負担増部分への国費補てんを軸とした財源措置で対応する方針を決めた」と報道されていました。

来年4月からの高齢者の自己負担増は

(1)70〜74歳の一般的な所得者の窓口負担が1割から2割へ引き上げられることと

(2)75歳以上の一部の方に新たに生じる保険料負担

の2点です。これを凍結するための補正予算の規模は、1600億円とも1700億円ともいわれています。

政府・与党は、高齢者医療費以外にも負担軽減策として、障害者自立支援法で定められた1割の自己負担の凍結も検討するそうです。障害を対象とするリハの立場からすると、このことは賛成です。ただ、国民の自己負担が減ることはいいことなのですが、これらの財源はどこから出すのでしょうか。やはり消費税率アップでしょうか? インド洋で給油したり、戦闘機を買うのを止めたりすれば財源はありそうなものですが…。

ところで、社会保障について気になるのは、来年4月に新しく始まる「後期高齢者医療制度」の問題点があまり論議されていないように思える点です。全ての75歳以上の後期高齢者から、年金天引きで予想では6200円程度の保険料を徴収するようになるのですが、具体的な制度が周知されていません。窓口での支払いは1割か3割だそうですが、後期高齢者が増えれば保険料も増えるでしょうし、受診抑制される高齢者も増えてくるのではないかと予想されます。

医師 はっしゅ

*イラストは、イラストレーター松村宏さんのページから借用しました。

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