2013年6月29日 (土)

糖尿病患者さんや高齢者が夏に注意すること

こんにちは。久しぶりの登場の医師Mです。
今回は、「糖尿病患者さんや高齢者が夏に注意すること」を下記に述べます。


① お部屋の温度に注意
当たり前のようですが、私たちは生き物なので、環境に左右されます。部屋の温度や風通し、湿度などによって体調は変わります。エアコンが嫌いだったり、電気を節約しなくてはいけないと考えて、暑い部屋の中にこもっていると、それだけで具合が悪くなります。お部屋に風を入れたり、扇風機をかけたり、衣服を調節して、快適な環境を整えましょう。また、運動をしなくても、水やお茶などを1日1000mlくらいは飲んでください。日当たりのよいところで、草むしりをしていて脳梗塞になることもありますので、外に出るときは、必ず帽子と水を持っていきましょう。
② 嘔吐や下痢をしたときは
嘔吐や下痢をした時は、水分の補給が必要ですが、口から受け付けないときは病院に行って点滴を受けると、楽になることがあります。お食事の出来るときは、おかゆやスープなど、水分が多く柔らかいものを食べるようにして下さい。ただ、ジュースや甘い飲料水は血糖が上がるので、かえって喉が渇き、尿が多くなり、脱水症や高血糖の引き金になるので注意してください。くれぐれも腐ったものを食べないようにしましょう。インスリンをしている人は、食事量に合わせて、インスリンの量を少なくしないと低血糖になります。また、インスリンを完全に中止すると、高血糖になることもあるので、血糖測定器で血糖を測り、300~400mg/dl以上の血糖が続くときは主治医にかかりましょう。嘔吐や下痢になっているのに、家族の方が血糖降下薬を飲ませ続けると、今度は低血糖になり、意識がなくなったりすることがあります。食事の摂取量をチェックして、下痢も続くようであれば、主治医に相談してください。
③ 寝る前のアイスクリーム、果物、清涼飲料水
お風呂上りや、寝る前にアイスクリーム、ジュース、果物を食べないようにと注意されたことがあると思います。先生がそんなことを言っても、ちょっとだけなら良いだろうと思っていませんか?糖尿病でない方は、どんな時にも、どれだけ食べても、血糖値は正常範囲に保たれるように自動調節されています。決して、血糖値が200mg/dl以上にはなりません。糖尿病患者さんは、夜寝る前に食べると、朝の血糖値を上げることになります。まだ、朝食の時に、一緒に食べた方が、血糖値への影響は少なくなります。
④ 夏の食べ物、そうめん、スイカ、いちじく、桃、ぶどう、ビール、焼き肉
食べ過ぎると血糖が上がるので、食品交換表などで確認してから食べるようにしましょう。ビールは200mlがバナナ1本と同じカロリーです。水替わりに飲んでいるとビール腹にもなるし血糖値も上がります。焼き肉は、自分の分を先に分けて、ゆっくり焼いて野菜と一緒に味わって食べましょう。
⑤ 睡眠不足や過労に注意
若い男性でも体力を過信して、睡眠不足のまま、日中外を歩いていて、脱水症で死亡することもあります。過労は思いがけなく転倒や、交通事故にもつながりますよ。

以上の事に気をつけて、快適に過ごしたいですね♪

医師 M

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2012年1月31日 (火)

血糖が高いときに出る症状

20120131 1月18日にFMくらしきの生放送で「血糖が高いときに出る症状」という内容でおしゃべりしました。当日は外来が終わらなくて、本番まで、あと15分という時にスタジオに着きました。ひやひやしましたが、広報の三宅課長とぴったり息があって、まずまずの出来かな。放送が、終わってから、さっそく患者さんから反響がありました。みなさん結構、聞かれているのに驚きます。
今日はその時の原稿をアップします。


「糖尿病といわれても症状がないので。。。」と、糖尿病の患者さんはよく言われます。では、本当に自覚症状は無いでしょうか。疲れているから、気のせい、年のせいと思って、自覚症状に目をつぶっていることがあります。皆さんが気付きやすいように、血糖が高くなると、どんな症状が出るか考えてみましょう。

① 食事をすると眠くなる。
食物を食べると消化されて、小腸からぶどう糖が吸収されて血糖値が上がります。今まで食べた後に眠いことがなかった人が、眠たくなる場合に高血糖になっている場合があります。また、血糖値400mg/dl以上になっている場合、気付かずに不注意になって判断力を誤り、自動車事故を起こしたり、高いところから落ちたり、転倒することがあります。救急車で病院に運ばれて来る患者さんの中には、そうやって糖尿病と診断がつくことが多いです。意識が無くなって運ばれた方の中には血糖が600mg/dl以上の場合があります。

② 甘いものを食べるとおしっこに頻回に行く。尿が泡立つ。家族に尿が匂うといわれた。夜間、頻回におしっこに起きる。膀胱炎になりやすい。
これは、余分なぶどう糖が、尿に排泄されるためにおこる症状です。特に、外来に来られる患者さんが、尿が泡立つので、血糖コントロールが悪いのではないかなあと心配されてこられます。また、ぶどう糖のたっぷり入った尿には細菌が繁殖しやすいのですぐ膀胱炎になります。また、おしっこがたくさん出るので喉が渇いて、水が欲しくなります。これらの症状は血糖値が良くなると改善します。

③ 甘いものが無性に食べたくなる。
血糖値が悪くなる時には、甘いものが無性にほしくなることがあります。砂糖やジュースなどを大量にほしくなる。糖尿病患者さんは、ぶどう糖を細胞に取り込んでエネルギーに変えることが出来ないので、勢いに任せて食べると、どんどん血糖が上がります。甘いものが欲しくなる時は悪くなる前兆と考えてください。口がいやしいわけではなく、そのような状態になるのです。


④ 肌がガサガサする。皮膚が痒い、おしもが痒い。傷が治りにくい。
血糖が高くなると自律神経の働きが悪くなり、汗の分泌がうまくいかなくなります。それに、脱水症も合併して肌が荒れてきます。また血糖コントロールが悪いとカビが生えて、皮膚や、しもが痒くなります。足のみずむしも出きる原因になります。

⑤ 歯周病になる。虫歯になる。
糖尿病の人は歯周病や虫歯になりやすく、歯周病や虫歯による炎症がさらに血糖を上げるという悪循環が起こります。糖尿病患者さんで総入れ歯の人にお話を聞くと、(60代に入れた)と、いう人が多いのでびっくりします。歯医者さんにかかりましょう。

⑥ まぶしい。目がかすむ。
高血糖になると自律神経の働きが鈍くなり、暗いところから明るいところに出た時に、異常にまぶしく感じるようになります。また、目がかすむということから眼科を受診して網膜症が発見されて、糖尿病がわかることがあります。

⑦ 顔面神経麻痺がでる。
よく耳鼻科外来を受診して糖尿病がわかることがあります。

いかがでしょうか。血糖が高くなると出る症状は、意外に多岐にわたっていて、他科外来を受診するような症状が多いですね。いつも紹介してくださる先生方に感謝します。

倉敷生活習慣病センター 医師 M

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2011年5月31日 (火)

糖尿病とはどんな病気?~知っておいてください~

先日、糖尿病の教育入院の患者さんたちと、(糖尿病とはどんな病気ですか?)とお話し合いをしました。
一つ目:糖尿病とは尿から糖が出る病気かな。
二つ目:血糖が上がる病気?
三つ目:インシュリンが出なくなる病気かな

という、お答えでした。
では糖尿病ではどうして、そのようなことが起こるのでしょうか。

《血糖って何》
その前に、血糖ってなんですか?と質問すると、皆さん、本当のことはわかりません。血糖とは、血液中のブドウ糖の濃度です。
ブドウ糖とは、はて何?
私たちが食べている炭水化物はブドウ糖に分解されて初めて、細胞の1個、1個に取り込まれ、エネルギーになります(蛋白質や脂肪はブドウ糖にはなりません)。 私たちが、主食として、食べている米、パン、うどん、そうめん、イモなどは小腸で分解されて、6つのブドウ糖になります。その後、小腸から吸収されて、血管の中を流れます。
ブドウ糖が血管の中にはいると、膵臓からインスリンが分泌されてブドウ糖の濃度(血糖値)を調節します。すなわち、空腹時血糖は110mg/dl以上、食後2時間後の血糖値は140mg/dl以上にはならないように、自動的に調節されています。糖尿病になるとその自動調節が破壊されてしまうので、血糖値が200mg/dl以上になったりします。(血糖値が200mg/dl以上の人は糖尿病になっている可能性が高いので病院を受診してくださいね。)
なぜ、自動調節が壊れるかというと、血糖が上がっても、インスリンがすぐに出なくなることによって起こります。また、血糖値が、170mg/dlを超えると尿からブドウ糖が排泄されます。そのために尿から糖が出るという状態になるのです。これが、糖尿病の本質です。

《合併症は》
血糖値が上がると、血管の内皮細胞という、血管を内側から守っている細胞が傷つき、糖尿病の3大合併症(神経障害、網膜症、腎症)や動脈硬化(脳梗塞、心筋梗塞、足壊疽)を引き起こします。予防するためには合併症が起こらない範囲に血糖値をコントロールすることが必要です。

《血糖コントロールのコツ》
血糖をコントロールするのにはコツがあります。皆さんが苦手とする食事療法ですが、まず、炭水化物がブドウ糖になるわけですから、ご飯、パン、うどん、そうめん、いもは、計りで測って指示どおりに食べる。食事療法を学ぶことは、血糖値をあげない範囲で、食べられる量がわかりますから安心して食べられるものの種類が増えることになります。果物やお菓子などは、食べる時間を間違えると、同じ物でも、血糖があがります。
間食ではなくて食事のすぐ後に少し食べる。
食事は毎日、同じ時間に食べるようにする。
夕食は6時か7時頃に食べる。

寝る前には食べない、など食事をする時間も血糖値に関係してきます。
また、運動に関しては、食事が終わってから、30分から1時間後に、10分ぐらい、1日3回、散歩すると、確実に血糖値が下がります。運動する時間を間違えると骨折り損のくたびれ儲けになるので注意して下さい。
明日から炭水化物の取り方、食事時間、運動する時間を考えて実行してみてください。確実に血糖が下がりますよ。

倉敷生活習慣病センター 医師 M

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2011年1月31日 (月)

高齢者の糖尿病患者さんの注意点

ご高齢の糖尿病患者さんは、高血糖、低血糖の自覚症状に乏しく、また、ちょっとしたことで、高血糖、低血糖になりやすいことが問題です。当院で、65歳以上で高血糖(200以上)の患者が、どんな病名で救急搬送されるか調査した結果、脳梗塞、心筋梗塞、事故(交通事故、転倒、転落)がほとんどを占めていました。高齢者においても、本人が出来ないからという理由で放置することなく、血糖コントロールは重要なことであると痛感いたしました。高齢者の糖尿病の治療に関して注意しなけばならない点をあげてみます。

【食事療法】 当たり前のことですが、本人が食べてくれない限り、血糖コントロールは出来ません。特に食事にむらがあり、食べたり、食べなかったりする場合には薬や、インスリンは重大な低血糖を起こします。まず本人がどれだけ食べるか確認が必要です。また、下痢や嘔吐をしときも薬により低血糖をきたします。また、食べないので、家族がジュースやくだもの、饅頭を食べさせて反対に高血糖になることがあります。ご飯、肉魚、野菜のそろったバランスの良い食事が大切です。よく、勘違いをして、糖尿病だから、肉魚は食べていけないと思っている人がいますが、制限しなくていけないのは炭水化物すなわち、ご飯、麺類、イモ類、果物、砂糖、お菓子など消化されて血糖を上げるような食べ物です。肉や魚は筋肉、皮膚、骨などの大切な成分を造るので大切です。体重が35Kgをきるような場合は栄養失調になっている可能性があります。やせすぎると体力がなくなりますので要注意です。

【運動療法】自分で動ける人は、食事のあと、30分から1時間の間に10分間の散歩110131 を行うと血糖値が50くらい下がります。朝早く起きて食事をしないで運動をすると頭がボーとしていて、怪我をしたり低血糖になることがあります。リハビリ中の方はリハビリが進むと思いがけなく低血糖になることがあるので、食後にリハビリを設定してもらう事が大事です。

【薬物療法】お薬を飲み忘れたり、たくさん飲んだりすることがあるので、家族の方は確認をお願いします。おかしいと思ったら、主治医に質問しましょう。

【治療の効果】治療がうまくいっているかどうかは簡単です。元気になってきたら良いしるしです。血糖やHbA1cが良くなり体重が増えるのを良いとする。HbA1cの改善なく体重が減少してくる場合は食事の見直しや運動、薬の見直しが必要です。

【治療の目標】高齢の糖尿病患者さんの治療の目標は・・・
○高血糖にはしない。
低血糖にしない。
○高血糖や低血糖には必ず原因があるので追求する。
などです。血糖値やHbA1cが良くなっているときは治療が効いているのではなく食事摂取量が少なくなっていることが原因んの場合もあります。

【水分摂取の大切さ】高齢になってくると水分を取らなくなることが多いですが、この水分の量が少ないと高血糖の原因なります。食事の量の確認、1日どれだけ水分を飲むかということも血糖値に影響します。反対に飲みすぎると心不全になりますので要注意です。

※HbA1c (ヘモグロビンエーワンシー)
HbA1cとはブドウ糖と結びついたヘモグロビン(血色素)で、現時点より過去1~1.5か月間の平均血糖値を反映しているため、患者さんの生活や症状を把握するために糖尿病の治療コントロールの良否にかかせない検査です。

倉敷生活習慣病センター 医師 M

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2009年12月 1日 (火)

糖尿病と妊娠の医学

今週の土曜日、12月5日に、大学時代の恩師、大森安恵先生が倉敷に来て講演をし091201 てくださいます。大森先生は以前にも、このブログで紹介しましたが、日本における糖尿病と妊娠の草分けの先生です。私が研修医であった昔の頃、母校の糖尿病センターでは、すでに当たり前のように糖尿病の妊婦さんたちが出産していましたが、この「糖尿病と妊娠の医学-糖尿病妊婦治療の歴史と展望 大森安恵著 文光堂」を読むとその時代は、まだ、糖尿病があるということは結婚の悪い条件になっていたり、糖尿病合併妊婦さんは死産を経験することが多かったようです。また、序章には、大森先生が糖尿病と妊娠を研究することのきっかけとなった「悲しい思い出」が述べられています。その壮絶な先生御自身の経験に、まず言葉を失ってしまいました。大森先生は、学問、研究に対する飽くなき探究心に加え、日々の生活を綴ったエッセイ集のような御本もあります。先生は、文章もうまいんですね。シューベルトの歌曲も大好きで、実際、声楽の先生について本格的に習っているような。また、絵を見ることも、夕日や、雲の形を見ることもお好きなようです。先生は、卒業しても良く声を掛けてくださり、気にも掛けてくださいます。私は、先生の序章を読んで、鬼子母神の話を思い出しました。1000人の子供がいても、ひとりの子がいなくなったら髪を振り乱して探して下さるような。それは、どの子がいなくなっても同じ、何人いようと誰もその子の変わりにはならないという深い慈愛のこころから、嘆いてくれるのです。そんな先生のお心のせいでしょうか。先生を慕っている卒業生はたくさんいます。12月5日は「くらしき福祉プラザ5階、プラザホール」で2時から講演会があります。私が、開会の辞で先生のご紹介をさせていただき、美容センターの吉岡保先生が座長をします。吉岡先生は妊娠学会で大森先生とやりあったことがあると、おっしゃっていました。演題は「糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病の違い」です。先生のサイン入りの本もあります。是非参加して下さいね。

医師 M

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2009年9月29日 (火)

「プロフェッショナル達の脳活用法」

9月16日(水)はFMくらしき の午後3時からの番組「平成健康アラカルト」に生出演し090929 てきました。題目は『糖尿病』です。とにかく、わかり易く、また聞きやすくを心がけましたが、少しドキドキしながらあっという間に終わっていました。広報のいそちゃんとの息もぴったりで初めてにしては合格かな

糖尿病という病気は、名前は皆さんご存知でしょうが、じゃあ、どんな病気ですかといわれても、きちんと答えられるかたは少ないと思います。普通の答えは、血糖値が上がる病気、尿に糖が出る病気。どうしてそうなるかというと、糖尿病の人は血糖値を正常範囲に出来ないのです。糖尿病でない人は、何を食べても、何時食べても、たくさん食べても自動的に膵臓からインスリンが分泌されて血糖値は正常範囲に保たれます。糖尿病では、この機能がうまく働かず、食べ物の種類や、食べた時間、食べた量によって、血糖値が上昇してしまいます。血糖値が170mg/dl以上になると、腎臓から糖が排泄されます。それで糖尿病の名前がつきます。だから、血糖値をあげる食べ物、すなわち、でんぷんが消化されて血糖値(ぶとう糖)になるので、でんぷんを控えるのは当たり前のことなのです。また、食事時間が不規則な場合や、寝る前に食事をするというのは血糖値をあげてしまう食べ方になるんですね。だから、仕事が遅くなって、食事が遅くなる人は、おにぎりなどを6時頃に食べて、家に帰ってから野菜や、肉魚のおかずだけを食べるというのは丸です。食べ方のコツ、また運動のコツもあるわけです。


さて今回、紹介する本は、茂木先生の『プロフェッショナル達の脳活用法 』(NHK出版)です。「プロフェショナル 仕事の流儀」に出演された方たちの、ここぞ、というお言葉がたくさん並んでいました。やはり、苦難、苦労を突き抜けて、淡々と前向きに生きるこころ構えが脳を鍛えるのでしょうか。。。。

医師 M

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2009年7月31日 (金)

『人は死ぬから生きられる』

Photo 今回の本の題名は、(人は死ぬから生きられる-脳科学者と禅僧の問答  茂木健一郎 、南直哉 新潮新書)ですが、《人は死ぬから生きられる》という言葉はこれだけ抜書きすると非常に物騒な言葉に思えます。私の家は父も母も熱心な浄土真宗の信者で、私たちも小さい頃からお経の本とお念珠をあたえられていました。また、その頃、仏教童話集 全12巻(?)は私の愛読書ではありましたが、特に両親が宗教を強要したこともなく、仏教に関してはほとんど何の知識も認識もないまま過ごして来ました。

 仏教の宗教書には何回か挑戦しました が、何度も放り出していまPhoto_3 す。禅はアメリカ人の格闘家の間では非常な人気で、彼らの精神的な支柱になっているようで、留学中に読んだチャック・ノリスの本は英語で書かれていたので、主語述語が明快で、やさしい単語で説明されているおかげで随分わかりやすかったです。また、キアヌ・リーブス主演映画『リトル・ブッダ』の中に挿入されている釈迦の一生のお話も、アメリカ人が解釈して映像にしているおかげで、仏教てこうなんだと改めて確認しました。

 留学中、英語の先生や同僚は熱心なクリスチャンで、その信心深さや敬虔なところに随分感心することが多かったです。しかし彼らとは違って、私の中では、仏教は信じるから救われるというものではなくて、はずかしながら、一般的な教養の範囲にとどまっているようです。

 今回の、茂木先生と南禅僧の問答は、全く別の観点から、仏教に切り込んでいるように思えました。仏教に関らず、人が信じるとはどういうことかという根本的なことまで考察している。仏教用語の(無記)(不立文字)(行雲流水)などにも目の覚めるような解釈がある。以前から、茂木先生は、科学者とは思えないほど融通の利く人だと思っていましたがその秘密はどこから来るのでしょうか。

医師 M

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2009年6月30日 (火)

男性骨粗鬆症

 ここ数年、新しく安全に骨粗鬆症の治療ができる内服薬が発売されてから骨粗鬆症の治療が整形外科、婦人科の先生に加えて、内科医も担当するようになりました。そのための、お勉強の会として倉敷骨粗鬆症談話会がはじめられ、今回で第8回目になりました。倉敷骨粗鬆症談話会は倉敷紀念病院の瀬崎達雄先生が代表世話人をされていて、年2回開催されます。毎回、特別講演の前の一般講演の担当は、私達、世話人にまわってきます。

 今回は1年前から、瀬崎先生から私に宿題としてだされていた「男性骨粗鬆症について」を発表しました。男性骨粗鬆症は、女性の閉経後骨粗鬆症と同じ位置付けにあります。女性に比較して頻度は少なく、また注目度も低いのですが、75歳以上の後期高齢者では男性の大腿骨骨折の頻度も増加し、女性と比較して予後も悪いので、高齢男性のQOLの観点から対策が必要な疾患概念とされています。

 当院整形外科で平成20年になされた大腿骨骨折手術65例中、男性例は11例でしたが、50代2例、70代3例、80代3例、90台1例でいづれも転倒により大腿骨骨折を起こしています。また、ビスホスホネート製剤で治療している147例中19例は男性です。整形外科症例では脊椎の圧迫骨折を合併しており、骨粗鬆症が発見されています。この脊椎骨折は、痛みがないことがあり患者さんは知らずに、何回も骨折を繰り返すことが多いようです。男性においては、男性の更年期障害の症状として骨粗鬆症も出るわけですが、女性の閉経のような明快な生理的変化のないことや骨に及ぼしている因子が女性の場合と違って複雑であることから病態を複雑にしているようです。また、男性で骨粗鬆症がある場合、その半数が、続発性とされていて糖尿病、ステロイド治療、慢性アルコール中毒症、胃切除後などにより起こることや、癌の骨転移も隠れているのでそれらの病気をしっかり鑑別しなければなりません。骨粗鬆症は圧倒的に女性に頻度は多いのですが、今後、男性においても、骨粗鬆症の発見と治療を念頭において診療にあたりたいと思います。

医師 M

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2009年5月30日 (土)

第三の脳

51igsfo9yl__sl500_aa240_  糖尿病でコントロールの悪い方は皮膚の状態が悪いことが多いですが、なかなかご本人はこれが、血糖値が高いせいだとは思っていないようです。

血糖値が高くなると血液の浸透圧が高くなります。喉が乾いているのに、水分を取らないと、細胞のほうから水分を取ろうとするので皮膚がかさかさになるのです。皮膚が乾燥してかさかさになる、水虫になる、おしもがかゆいなど訴える方が、血糖値が良くなるとみずみずしいお肌になる。

今回、読んだこの「第三の脳 傳田光洋著 朝日出版社」は、医者ではない、熱力学の工学博士の著者が30歳になってから資生堂の研究員になり、皮膚のことを科学的に述べた本です。

 この方はケラチノサイトに存在するTRPV4という分子を発見された。この分子は皮膚のバリア機能を調節する湿度センサーのような役割をするようです。そうして、皮膚は第三の脳である。ちなみに、第二の脳は消化管だそうです(ガーション博士が消化管は独自に存在している。機能として消化管は脳と同じ、感じ、判断し、行動する指示を出すそうで、消化管は第二の脳だといって「第二の脳」という本を出した)。そうして、著者はあくまでも科学的に、皮膚という臓器を通して、こころや命の成り立ちや、人間とは何かといったことまで考え始めているとのことです。

 まず、皮膚の基本構造や角質の働きや、感覚器としての皮膚の役割なども述べてあります。さらに面白いのは、皮膚感覚を遮断するようなアイソレーションタンクの中に入ると、「自我」がずれるような感覚を起こすらしい。

皮膚は自我を構成するのに大切な臓器であるようです。東洋医学のツボや経絡に対しても考察しています。皮膚科学から超能力を考えるという項目もあります。医者、特に西洋医学を学んだわたしたちには考えもつかないことですが、著者はきっちりした研究者の手法で自ら実験し、多数の文献を引用しつつ、この不思議な皮膚の役割ついて考察しています。

倉敷生活習慣病センター 医師 M

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2009年4月30日 (木)

達者でポックリ

美容院に行ったときに、お店の人が用意してくれる(家庭画報)は、わたしが子供のときからあった雑誌です。02433_0905_l

ぺらぺらとめくっていると、こんなところにも帯津先生の福福しいお顔が・・・(こころとからだといのちの医学)と題して、帯津良一先生とアナウンサーの加賀美幸子さんの対談が載っていました。毎月のシリーズのようです。

前回はフラワーエッセンス、今回は漢方薬の特集でした。帯津先生から処方を頂いた加賀美さんの嬉しそうな顔が羨ましいかぎりです。帯津先生の本を読もうと何冊か買い込んでいた矢先のことでした。

Htbookcoverimage 今回、紹介する『達者でポックリ 帯津良一著、東洋経済』は医者のわたしからみると随分と物騒な本の題名です。

達者な人がポックリいったら、主治医であれば、何か病気が隠れていたのではないか、見過ごしていたのではないかと気になります。また、親が急にポックリいったら、おそらく茫然としてしまいます。

ですから、これはあくまでも自分自身の場合に《達者でポックリ》いけるように「死」を考える。いつかは訪れる自分の死について、日ごろからしっかりしたこころ構えを持つことが大事なのです。

ホリスティック医学の究極の目標は間違いなく「生と死の統合」にあると思います。わたしたちの命は宇宙の大きな流れの中で循環しています。

「死」は終わりではなく、魂のふるさとである「虚空」への旅立ちなのです。

達者でポックリいくためには「養生」ということがとても大切ですが、からだをいたわり、病を未然に防ぐといった消極的なものではありません。日々生命のエネルギーを高め続け、死ぬ日を最高に持っていくための心構えをもつことが最も大事なのです。4286055310つまり「攻め」の養生です。病気とは「生命場」の乱れ。その生命場の乱れの原因は30%は食事、残りの70%は心の問題であると私は考えています。本の最後には、帯津式「達者でポックリ」のための12ヶ条が書いてあります。

先生の著書には『こころの掃除で病気も治る』という題名の本もあり、こころの問題、からだの問題に対してまた考えてみたいものです。

倉敷生活習慣病センター 医師 M

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帯津良一[オビツリョウイチ]
1936年(昭和11)、埼玉県生まれ。61年(昭和36)東京大学医学部卒業。東京大学医学部第三外科、共立蒲原総合病院外科、都立駒込病院外科医長などを経て、82年(昭和57)埼玉県川越市に
帯津三敬病院を開設し院長となる。現在は同名誉院長。西洋医学に中国医学や代替医療を取り入れ、ホリスティック医学の確立を目指す。現在、医療の東西融合という新機軸を基に、がん患者などの治療に当たっている。2002年「楊名時健康太極拳21世紀養生塾」を設立、塾頭となる。代替療法への造詣が深く、治療に積極的に取り入れるほか、講演や大学での講義なども行っている。医学博士。日本ホリスティック医学協会会長。日本ホメオパシー医学会理事長、水輪の会特別顧問(こちらより引用)

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